5月のいただきもの

今月もたくさんの本を(しかも上京した際に直接)いただきました。どうもありがとうございます。重いながらもちゃんと持って帰って読んでるんだぜ!

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西田君主催の新媒体、上京した際にいただいたのだけど、編集としての完成度をさておけば、とても力の入った冊子だなあと思う。個別の内容には触れないけど、それなりにキャリアのある人の文章は読み応えもあるし、いい意味でもっと突っ込んで聞いてみたい話もけっこうあった。ただ、問題は今後。「知のハブ」という以上、オーソライズされた査読ではなく、メンバー相互のピア・レビューの場が欠かせないと思うのだけど、その辺がうまく機能せずに、俺の論文も載ってるぜいえーい、で終わっちゃあまずいかなと。特に、人の文章を読まずに自分のことだけ書きたいっていうのが、最近の傾向みたいだからね。

日本思想という病(SYNODOS READINGS)
芹沢 一也 荻上チキ 中島岳志
片山杜秀 高田里惠子 植村和秀
田中秀臣
光文社
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チキ君とこに遊びに行ったときにいただきました。このバラエティのある話題を、日本の思想状況が抱える共通の問題としてコンパイルしたセンスはさすが。こうした失敗の研究は、ともすれば単なる「俺あたまいい、あいつバカ」で終わりがちだけど、ひとつの専門的トピックにこだわらずに論を配置することで、そうした優越感ゲームから自由になろうとしたのだと思う。ただもうひとつ、こうした問題は、大御所の先生が晩年になると取り組み始めることからも分かるとおり、「どうやっても最後に残ってしまう」という性格もあり、これを実践にどう活かすかは難しいと思う。

いじめの直し方
いじめの直し方

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内藤 朝雄 荻上 チキ
朝日新聞出版
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同じくチキ君にいただきました。「直す」という言葉に込められた、「人ではなく仕組みを直す」という発想は、いじめられている人にとってはとても救いになるだろうし、そのいじめをいまの子どもが通う学校社会に限定すれば、こうした実践的なガイダンスはとても大事。この流れで企業社会とか、特定の業界とか、そういう世界でのいじめの直し方も書いて欲しいところ。この手の話は最後に自分の立っている足場まで返ってきたときに何を言えるかで、枠組みの強さが問われると思う。

はじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲 (生活人新書) (生活人新書 308)
佐藤 優
日本放送出版協会
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また佐藤優かよなんて言わないように。生きるためとはいえ、これだけ書けるというのはやっぱりすごいですよ。個人的には、最近の社会科学での宗教学の軽視というのはどうかなあと思うところがあって、少なくとも文化や社会意識に関わる変数を設計するのに、エスニシティや階級と並んで宗教意識を加味しない国際比較などありえないわけで、教養としてだけでなく、実践的にも思想のお勉強は必要なのだよね。ちなみに「右巻」は宗教の肯定的な側面について書かれていて、続刊の「左巻」では否定的な側面も書かれるそうなので、合わせて読みたいところ。

「物質」の蜂起を目指して――レーニン、〈力〉の思想
白井聡
作品社
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白井君にいただきました。巻末のプロフィールを見て、白井君って博士(社会学)だったのかよ!と椅子落ち。広いな社会学。てゆうかこないだのLifeでも政治学者って名乗ってたじゃーん。などという些末な話はさておいても、唯物論を文字通り物質の問題から捉え、それが持つ力に期待した思想としてレーニンを読むというのは、前回の放送を聞いていれば、白井君自身の関心として深いものがあることはよく分かるんじゃないかと思う。でも、それは近年流行りのコミューン的協働社会のようなものとはまったく違う「共産主義社会」を打ち立てる思想になる気がする。

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