ギャル演歌の世界へようこそ Part.3

まさか思いつきでブログ書いてから2年もたって新聞記事になると思わなかった「ギャル演歌」論。今朝の朝日新聞の記事では、もう曲がり角に来ているって話になっていて、それはまあその通りだと思うのだけど、なんか提唱者ってことになってるし、初めてこの言葉を聞く人からすると誤解されそうというか、こういう歌が好きな人からは、何も知らない学者が自分の好きなものをけなしてる!ってなるだろうし、興味ない人からは、また適当な造語を作ってお気楽な仕事よねーとか思われるわけで、一応フォローとかなんとか。

前の記事でも書いたとおり、僕自身はギャル演歌と呼んでいる一連の曲が大好きだし、というかすげえ病みながら泣き歌聴いてマジわかるってなってる子たちの気持ちもリアリティを持って受け止められるつもり。行きがかり上、TSUTAYAに行くと「S Cawaii! presents S Songs ~恋のコトバ。~」だとか「Celebrity presents STORY」なんてコンピレーションを借りてきては情報収集に努めていたのだけど、そこには紋切り型ながらも、会いたい、でも会えない、にも色んな切り口があるんだなあと感心したり、普通に良い曲じゃーんってなったりしていたのでした。

ちなみに音楽に詳しい人からは「演歌」という部分への反応が多くて、輪島裕介さんなんかには、真面目な演歌の本なのに言及してもらったり、このテーマって意外と何かの琴線に触れるものでもあるのかな、と。これは師匠格のライター氏に指摘されたのだけど、確かに最近の若い女の子の歌い手って、実は民謡出身って人も多いからなあ。

ま、それはいいとして、前回は女子の友情ものにトレンドが移ってるとかそういう話だったと思うのだけど、ここんとこ多いのは男性ラッパーとのコラボもの。原点としては青山テルマ×Souljaだとか、西野カナ×WISEだとか、スポンテニア×JUJUだとかなんだろうけど、たとえば青山テルマ feat. KEN THE 390「届けたい…」なんかは、普通に楽曲としてもいいなあと思う。

ただやっぱり「会いたいけど会えない」の定番は、もう別れちゃった彼氏への未練を歌ったもの。それがこう、私一人で待ってます、だと演歌になっちゃうんだけど、そこはもう現代なので、そうはいいつつも次の彼氏とかもちゃっかりできているわけですな。恋愛とか恋人ってなんだっけ、って気持ちになりますが、彼女たちはいたって真剣に悩んでます。Natural Radio Station feat. 宏実「イマカレ、モトカレ」は、そんなシチュエーションをど真ん中で歌った一曲。

なんかこう、別れなきゃって分かってて自分から切ったくせに、街で偶然会ったりするとまた会いたいとか電話しちゃうって、いやおーいって感じではあるんですが、そもそも会っちゃったら、求められたら気持ちが揺れるのは分かってたから距離置いて次の彼氏作ったんでしたねそうでしたねっていう。死にたい。

でもやっぱりラッパーの人たちはすごいなというか、リアルなhiphopの世界ではこういうのはDisrespectの対象なんでしょうけど、やっぱり言語感覚が女の子とは違うし、出てこないわそういうのってリリックを出されるとびびる。ギャル演歌界の新生、三浦サリー「アイシテル」でのCLIFF EDGEの「誓い重ねた IC送信」って、ちょっと歴史に残したいレベルだと思うもの。

でも、なんでこう「会いたいのに会えない」なんでしょうね。朝日の記事でもちょっと触れたけど、やっぱりギャル演歌が「着うたランキング」の世界で注目される楽曲群だった、っていうのは外せないと思う。通信業界のプレゼンテーションって、常に「会いたいけど会えない、だから電話しよう」なわけでしょ。そんなに会いたいなら会いに行けよ、って言っちゃうとビジネスが成立しない。そんな通信業界の思惑と、会いたいけど会えないシチュエーションで病みながら自宅のベッドで泣きソング聴いちゃうギャルの子たちのライフスタイルは、どこかでシンクロしている。しているだけで、何らかの因果関係があるわけではないのかもしれない。でも、そう考えると実はギャル演歌ってとても批評的なジャンルなのかもしれないよ。いや批評とか難しいことは分かりませんけれども。

そんなわけで、もう次があるとも思いたくないですけれども、このジャンル、なのかどうかすら分からない一連の楽曲。僕は単に興味があるのでまだまだ聴いてくんじゃないかと思います。なんだそりゃ、と思った食わず嫌いのあなたにも、この魅力が伝わるといいな、と思いつつ。

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