ハーバーランドUmie雑感

前のエントリとは別の話題。数年前から撤退が取りざたされていたハーバーランドの阪急百貨店がついにさよならして、代わりにイオンの資本が入ってリニューアルしたハーバーランド。「Umie」という三文字名称はルクアなども含め最近流行りだし、チャネルが限られているとはいえそれなりに前宣伝もしていたのでどんなものかと思って、オープン初日の4月18日、午前中に行ってみたときのファーストインプレッション。

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かつて阪急百貨店と「HaRe」と呼ばれていた施設は、それぞれ「サウスモール」「ノースモール」という名前でリニューアル。2階部分だけでなく4階、6階にもそれぞれ通路を設け、一方で通路にガラスを用いることで開放感を演出した、というところだろうか。また1階の通路に配置されていたベンチや観葉植物は撤去され、壁際にいくつかソファーが置かれていたことも、歩きやすさを高めたと思う。

テナントの目玉は、H&MやOLD NAVYといったアパレルで、この日も朝から行列、入場制限といった状態。ただ後日ゴールデンウイークに行った際にはもう並の人出という感じだったけれど。

もうひとつ、Mosaicの中にあった映画館「シネモザイク」は、旧阪急百貨店の上2フロアを占めるOSシネマズに移転。その影響で4階から上に続くエスカレーターは一機が利用停止に。エレベーターも西側の方は6階に止まらなくなるなど、なんでわざわざここに移したのかちょっと分からないなという印象。そもそも映画館を前提にした設計ではないだろうし、音響設備とか大丈夫なのかなと気になった。002

で、一方のシネモザイクはどうなったかというと、閉館されたまま放置。このほかにも目玉テナントのひとつになり得るトイザらスやフードコートもオープンは夏予定と、リニューアルというにはちぐはぐな感じを受けるところもあった。

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そして、OSシネマズの向かい、ノースモールの5階には大垣書店&カフェ。売り場面積はそこそこ大きいのだけど、棚のほとんどが文庫、新書、雑誌で、ビジネス書すらまともに置いてないという状態だったので、書店としては利用しないだろうなと思った。カフェ部分ではオリジナルメニューを出しており、カフェの机には店員がレコメンドする書籍が置いてある。『ディズニー化する社会』のブライマンなら「ハイブリッド消費」と呼ぶだろう仕掛けだけど、似たようなカフェを併設している書店と比べても、特に魅力的かというと、うーんという感じ。

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カフェの近くにはキッズコーナーがあって、おそらく子どもが絵本でも読みながら遊ぶ場所にするのだろうけど、実際にどこまで利用されるのかは、まだ分からないなというところだった。

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最大の目玉は、なんといってもアンパンマンこどもミュージアム&モール。オープン初日はまだ開いてなかったので後日訪れたのだけど、初日は数時間待ちの行列だったというこちらも、連休中はそれなりの入り。ただそれよりも面白かったのは、そもそもこのミュージアム、観覧車脇のミニ遊園地を潰してその上に建てたわけだけど、その観覧車(いつのまにか「大観覧車」ということになってた)はミュージアムとシームレスにつながっていて、ゴンドラのひとつにドキンちゃん仕様の特別な奴が設けられていたこと。観覧車もアンパンマンの傘下ですかと。

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ちなみにそのゴンドラだけ数十分待ちとかだったので、みんな大好きなんだなあと思ったっていう話はまた別にあるのだけど。ただ全体として思ったのは、色んなところが未完成ではあるものの、消費刺激という点ではそれなりに機能していて、もう行くのが嫌になるほどの人出というわけではないけど、なんか気持ち活性化したかも、くらいの気分にはさせられるといった程度。これならちょこちょこ飲食店が増えることで客足も増えるのかなとは思った。

ところで、そもそも僕がハーバーランドに興味を持ったのは、初めて訪れたときに神戸駅で見た「毎日が遊園地」とかそんな感じのコピー。折しも社会学界隈では「ディズニー化」とか「再魔術化」といった用語が注目をされていた時期でもあって、これこそエンターテイメントモールの理念型か、とか思ったのだった。以後、自分の仕事でも大学のゼミでも、こうしたテーマを扱い続けているわけだけど、ではそのコピーを掲示していた広告スペースはどうなったか。

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キャッチコピーは、「『海・街・人』ここにしかない、きらめき」という、正直コピーとしてはあまりに凡庸で、文脈性を欠いた、というか何も説明していないもの。でもそれより大事なのは、広告やパンフレットにも用いられている、ちょっとパステルテイストの建築模型。いや、というか、こんな建物はUmieのどこにも存在していないわけで、何も模してない。これにはさすがに面食らった。存在しない建物が広告の顔になり、現実の構造物の概観は以前とほとんど変わっていない。おそらくこれはテーマ化とかシミュラークルの類ではない。にも関わらず、Umieの何かを表象している。

なんかこういう手法がこれからも用いられるようになると、そもそも広告とかクリエイティブって何よ、というところまで問われそうなのだけど、現実の構造物よりも存在しない構造物の表象が心に残ったという点では、まんまと引っかかっているのかもしれないな、と思ったのだった。

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