2014年の音楽を振り返る

毎年恒例の年間音楽レビュー。今年は音楽的にはとても充実した一年で、新曲だけでも200曲くらい聴いたのだけど、通観してみるとやはり「2014年」という共通の何かが見えてくるわけで、毎年やってることとはいえ、今年はいつもより多めに振り返りをやってみたいと思う。
今年頭から、自分にとっての2014年を予告していたような曲。男女ツインボーカルじたいはいまや珍しいものではないけど、曲調にも合ったバンドはなかなかない。シューゲイザーでポップなんて幸せじゃないか。
こういう曲調もできるんだなというか、ちょっと意外だったので。

「側に居られるなら 手段は選ばないよ」

相変わらずコンポーズの水準が高く、かつポップなのに歌詞が重い。古い世代の僕らはついJungle Smileと比較してしまうけど、何をあからさまにさらけ出すかという点で、YUKAの詞は2010年代的だ。

ここのとこ、明確に運命や世界への言及が増えた気がするミリヤさんですけど、もともとそういう素質はあったのだと思う。ただこの曲でそれが明確になっただけのこと。

今年を代表する出来事のひとつが彼女たちのブレイクなのだけど、それはどこまでも「音楽」という産業がコンテクストの中で営まれるものであることを露わにした。これから異なるコンテクストの中に放り込まれて、彼女たちがどう変化するのかが気になる。
海外に目を向けると、EDMだけでなくR&Bの世界でも哀愁のメロディが大流行。後に出てくるJennifer Lopezの「J Lo」を思い出す美メロなスムースソウルが充実した年だったと思う。
一方、こういうトラックをきちんと押さえてくるのがm-flo。アジア系がR&Bしようと思った時、単にK-POP的ということではくくれない、ある種の東アジアR&Bみたいなものが生まれつつあるのかもしれない。
10年ぶりくらいにお顔を拝見したら誰だかわからなくなってたけど、声は変わらず彼女のまま。それがまさか神聖かまってちゃん直球のトラックにこんなにハマると思わなかった。ラストのシャウトはどちらのファンでも頭振るしかないもの。
こういう泥臭いソウルミュージックが、関西を中心として00年代の頭くらいまではあったはずなのだ。久しぶりに触れて胸が熱くなるとともに、10年代の日本語ラップがそこに普通に乗ってくる時代の変化にも感嘆したのだった。

今年はこの人の年だったtofubeats。本来の彼の持ち味は、90年代R&Bを昇華したJ-POPの文脈を、クラブというハコの中に開花させるところにあるのだけど、この曲はそのレベルをもうひとつ越えた、2014年を象徴した一曲になったと思う。
メジャーデビューしてどっちに行くかと思ってたけど、インディー時代のノリも残しつつこういう方向に進化できるのかと。今年聴きまくってた曲。
哀愁美メロの元祖J Loが、こちらは10年代っぽいシンセを組み込んだ美メロ曲で勝負。このバスドラの音も、EDM全盛時代にはおっさんだけでなく若い世代にも響くんじゃないかと思う。

海外の曲で一曲、と言われたら間違いなくこれ。何もしなくても涙が出てくるというか、もう音楽ってこれでよかったんじゃん!と思い知らされたのだった。
僕のところにも届くくらいにはブレイクしたKANA-BOONですけど、やはり適切なタイミングで名刺代わりの一曲をリリースできるって、実力だと思うんだよね。
サマソニ大阪で聴いてハマったラウドロックバンド。こういう世界標準レベルの演奏やボーカルが、ラウドの世界にはたくさんいるのだけど、日本から出てくる必然性まで含めてこういうバンドが必要だと思う。

今年、ニューヨークで流行中だというネオジャズムーブメントに触れる機会もあったのだけど、なんだかそれとリンクするような一曲。これをEgo-Wrappin’がやることに意味があるよね。
海外ブレイク勢の筆頭、Ariana Grandeの曲の中では「Problem」とかなんだろうけど、哀愁美メロブームに絡めるならむしろこっち。

tofubeatsが生み出した「2014年ならでは」という要素を一言で言うなら「多幸感」だと思う。「ディスコの神様」にも参加していた池田智子の、なんとも言えない危なっかしさは、このバンドのこれからも含めて大きな未知数を感じさせる。それと関係なく、この怖いくらいの多幸感、明らかに状況が順風満帆ではないはずなのに、なんとかなるさなっちゃえー!というやけっぱち感は、古市くんが描く幸福な若者そのものなのかもしれない。
よく80年代的だと思われてるけど、むしろいま海外の音楽シーンで起きているのは、EDMでRoxetteがカバーされるのとかも含めて、すぐれて90年代前半的なんだと思う。その中でも、リバイバルしているルーツの音楽と同時期に誕生した彼女のような世代による解釈は、僕みたいな人間の耳にも心地いい。
まさかこう来ると思ってなかった。彼らの曲にあまり感心するタイプの人間ではないし、「生き残るぞ 生き残るぞ Until i die」って何言ってるかわかんねーよ!と思うんだけど、これも今年ならではのやけっぱち感なのだろうと想う。普通に好きです。
映画の主題歌だったことを引いても、フジファブリックの健在ぶりが印象的だった一曲。
近年のプラの安定ぶりはすさまじいのだけど、こうやってシンセとかも普通に吸収して自分たちのものにしてしまえるほどの音楽性に到達し、今後もずっとずっと楽しみなバンドになったなと思った。
今年はネットラジオで新曲をチェックすることが多かったのだけど、久しぶりに「エアチェックして即買おうと思ったらまだ発売されてない!発売いつよ?」ってなった曲。
  • ナオト・インティライミ:Just let it go
今年の流行歌とは違う、もうひとつのレリゴー。こちらもネットラジオ経由でチェックしたのだけど、彼の曲をちゃんと聴いたのは初めてだったかも。
  • Cocco:Beautiful Days
祝!こっこ復活!と言いたくなるアルバム「プランC」は、もうそれ自体でずっとヘビロテしたのだけど、特にこの曲の開放感は、ずっと言ってる14年ならではの多幸感に通じるものがあると思う。
元気ロケッツの中の人、と聞いてええっ!となるくらいナチュラルに聞いていたのだけど、元気ロケッツ時代と変わらぬ抜けるようなサビ(音域は狭いのに)が、メロディって本当に奥深いなと思って、ずいぶん分析した。

もう安室奈美恵というジャンルでいいんじゃないかというくらい安定して良曲をリリースし続けている彼女ですけど、この曲は買ってその日のうちに何十回とリピート再生してしまった。そんでちょっと泣いた。ここまでの境地に達することはまだ僕にはできないけど、彼女が歌うことの説得力に、ただただ打ちのめされる。

その筋の人には、不在の存在感でおなじみのヒカルさんだけど、カバーアルバムなのに彼女の存在が圧倒的であることが、カバーする人たちの本気度でもわかる。この曲は、解釈というより曲の魂を掴んだらこうなるんだろうなというカバー。これ以外だと、ミリヤさんの「For You」が好きだった。

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