スマートトイの不思議な世界

ゆえあって、子ども向けスマートトイについて調べているのだけど、まあ面白いというかなんというか。海外においては、子どもと消費は消費社会研究の立派ないちジャンルだけど、日本だとどうしても教育学、幼児教育の方向で、消費社会の研究ではなく、いかにして(悪いことが前提の)消費から子どもを守るかという話になっちゃうわけで、なかなか商品のほうにフォーカスした話にならない。

で、スマホもどきがこの分野では先頭を走ってるわけだけど、

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ママとつながるスマホ|Fairisia(フェアリシア)
Jewelpod Diamond Premium|セガトイズ
ちゃおガールセレクトオンライン|スマトモ|プレミアムバンダイ
マイタッチスマート LINE FRIENDS|タカラトミー

tx03

Android搭載で3G通信できるよっていう格安スマホみたいなものから、LINEもどきのコミュニケーションができるものまでまあ色々。それより面白いのは、予想通りというか、この種の商品が全て「女子向け」で、広告に出てくるのも女児。コミュニケーションの相手も友だちかママという。

ステレオタイプがどうこういう以前に、そもそもおもちゃじたいが強くジェンダー化された市場であることを思い出さなきゃならない。おもちゃが、そのときどきの「あこがれの大人像」を体現してきたものだとして、ここ10年くらいは「ママ」から「職業人」を飛び越えて「よき消費者」としての「おねえさん」くらいの年齢にフォーカスしたものになっているわけだけど、さらにそこに「コミュニケーション」の要素が入り込みつつあるのだよね。

それがもたらすものって何だろう。ひとつは、「女子-コミュニケーション-消費者」という三位一体がもたらす「リア充」像じゃないかと思う。リア充っていうと恋人がいるとかいないとかいう話になりがちだけど、僕の目から見ると、リア充というのは要するに「よき消費者」だ。本当は生産活動に従事し、充実した職業人としての生活を送ることだってリア充のはずなのだけど、そうしたものは付加しかされる一方で、充実した消費生活+ともに消費する人間関係があるかないかが、リア充の入口段階の子どもに向けたおもちゃに表象されている。

じゃあ男の子のほうは、というと、タカラトミーからスマートウォッチもどきが登場していた。

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プレイウォッチ|タカラトミー

そもそも広告の中に男子も女子も登場するので、男の子だけが対象ではないけれど、このあたり、まだガジェット的な性格が強いということなのかもしれない。

そのタカラトミー、「ジョブアカデミー」というシリーズも出している。

ジョブアカデミー|タカラトミー

「憧れの職業や大人たちの間ではやっていることを本格体験できちゃうシリーズ」なのだそうで、いまんとこラインナップされているのが以下の2商品。

6秒ムービーカメラ マジカルシックス|ジョブアカデミー|タカラトミー
14日間マンガ家コース|ジョブアカデミー|タカラトミー

6秒動画もマンガ家も、基本的には女子向け。突っ込みたいところは無数にあるけども、そこはぐっとこらえて、一応まとめるならどちらもクリエイティブ系。これがおもちゃ市場においてどんなインパクトを持つのかは謎だけど、コミュニケーション系スマートトイとはまた違った趣向で、もしかするとキラキラ消費者系おねえさんとは違うあこがれを涵養する市場が生まれつつあるのかもしれない。

おそらく商品として考えるなら、スマホもどきは通信する相手がいない限りあまり楽しいおもちゃにはならない(そもそも親のスマホでYouTubeを見せてもらう方が楽しいかもしれない)し、誰も使ってないなら「ほしい!」とはならないわけで、そんなに気にするようなものでもないのかもしれない。というか、どうしてこう、せっかくのテクノロジーを、お仕着せに消費することしかできないクローズドな商品に改変してしまうのだろう。

消費の市場がゆたかなのはいいことだけれど、消費者でいるだけでは創り手に回ることはできないし、自分の望む商品が存在しなかったら文句を言う以外の選択肢がなくなる。「消費を許すか、我慢させるか」というのが生産主義時代の消費への向き合い方だとするなら、「お仕着せで消費するか、自分で作るか」という選択に開かれた子ども市場だといいのにな、と思う。

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