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	<title>Soul for Sale &#187; ロスジェネ</title>
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	<description>Phase II</description>
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		<title>「真面目な人が報われない」</title>
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		<pubDate>Wed, 24 Mar 2010 14:00:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>charlie</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>
		<category><![CDATA[アニメ]]></category>
		<category><![CDATA[ロスジェネ]]></category>
		<category><![CDATA[思考]]></category>
		<category><![CDATA[感想]]></category>

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		<description><![CDATA[どう論じたものか悩みながら、『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』を見てきた。友人の手配で監督挨拶の回に行ったら、最前列のど真ん中というポジションで、監督が文字通り目の前。さすがに恥ずかしくて（何でだ）顔 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>どう論じたものか悩みながら、『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』を見てきた。友人の手配で監督挨拶の回に行ったら、最前列のど真ん中というポジションで、監督が文字通り目の前。さすがに恥ずかしくて（何でだ）顔を上げられずにいたので、監督が僕に気づいていたとは思えないけど、もっそい怪しまれてたろうなと思う。神山さんごめんなさい。以下ネタバレ込みの感想。</p>
<p><span id="more-802"></span></p>
<p>劇場版Iを見たときからだいたい気づいていたけど、本作の主題は、東のエデンのシステムや、それを駆使した「ニート」たちの集合的な力ではなく、それを利用する「王様」としての滝沢と、それに対抗する物部との政治観の違いへとシフトしている。両者の違いはいくつもあるが、それはたとえば、強い動機付けを持たない滝沢に対して、意志を持ったリーダーの必要性を認識している物部、といったところにも見られるが、より本質的なのは、性善説を採り、みんなで生き残ることを志向する滝沢と異なり、物部が、日本を抜本的に改革するためのダウンサイジング、平たく言えば国民の「間引き」を目指していることだろう。</p>
<p>まず押さえなければいけないのは、両者がともに、現在の日本における世代間の不平等の存在を認めているところだ。物部は「相続税100パーセント法案」を通すために様々な画策を行ったし、滝沢も劇場版IIのラストで、高齢世代に呼びかけを行う。そもそも「ニート」対「既得権」といった構図そのものが世代間対立として提示されているし、そこで「ニート」たちとは、不平等な資源配分の下、新しい社会作りのために意志を持って行っていることが、既存の価値観や経済の枠組みの評価から外れているから、そう呼ばれているに過ぎないという、そういう存在として描かれているわけだ。</p>
<p>その世代間不平等を解消するために「間引き」を容認すれば、当然だが生き残るのは、若い世代ではなく、優秀な人材だ。つまり物部の志向は、若年層への共感ではなく、既得権への憎しみに駆動されている。それに対して滝沢は、どちらかといえばそうした対立ではなく、ただおもしろそうな人がいるから、彼らを支援したいという程度の動機で動いている。彼が考える「直列につながるとものすごいポテンシャルを発揮する」という言葉の真意は、彼らを自分のために「利用する」のではなく、そのポテンシャルを「引き出す」ものだったという意味だったのだ。</p>
<p>二人のリーダーシップの違いは、物部が官僚的なピラミッド型システムにおけるリーダーを想定するのに対して、滝沢が水平分業型チームにおけるコーディネーターのような存在を意識していると考えれば、現代社会におけるひとつの興味深い対立軸の表象であると見ることもできよう。けれど僕がもう少しずれたところから考えたいなと思ったのは、滝沢的なものと、物部的なものが同じく「世代間対立」の中に含み込まれている、いまの社会の状況だろう。</p>
<p>そんなことを考えたのは、『思想地図』の最新号特集「社会の批評」を読んだからだ。例によっておもしろい論文が並んでいるのだけど、どちらかというとこれまでより年長の世代の書き手が目立つ（最年少は東園子の78年生まれ）。そのせいか、新しい価値や考え方提示し、我こそが一歩前に出てやろうというぎらぎらした意識ではなく、そうした若い世代をたしなめたり、学術的な知見から批判したりする記述が目についいた。個別にはそれは正しいのだろうが、僕はそこに、ある種の編集意図を読み取れる気がする。ごく簡単に言えば「社会批評、ちゃんとやろうぜ」という。</p>
<p>ちゃんとやると、どうなるのか。おそらく真面目に研究活動をして、社会批評に向き合っていこうという人が正しく評価され、その時々の時流に乗った言説を根拠もなく垂れ流し、ネットの評判に媚び、次々と前言を翻す「売れ線」の人々の評価が相対的に低下する。佐藤論文では、学術の世界における論争が数年単位で行われるようなものであることが示され、批評と社会学を融合させるなら、社会学の最新の成果へのアクセスを怠るべきではないと述べられている。</p>
<p>一方、ちゃんとすることが求められる環境そのものに、世代間不平等の構図を見いだすのが菅原論文だ。学問の世界において、成果が求められるようになるほど、回帰分析で結果が出せそうなテーマばかりが選ばれる一方、本質的な課題は解決に向かわないという苛立ちは、政治学だけでなく社会学にも共通の状況だ。そしてそれは、テニュアのポストに就いた年長世代が非競争的な状態で居座り、若年層だけが競争を強いられるという状況によって生み出されていると指摘されている。</p>
<p>おおむね賛成だが、最後にごく簡単に述べられる解決策については、あまり同意できない。若手優秀論文の懸賞による査読制度の健全化、院生の外への就職の推薦、年長世代の研究者の競争推進といった解決策は、評価制度が「既得権」のようなものと独立に設定しうると想定できるならば一定程度は健全に機能するだろうが、たとえば大規模調査のように予算を取ってくる能力や、既存の研究基盤を受け継ぐことで得られる先行者利益が大きい研究、日本社会批評や文化批評、文学研究などのようにドメスティックな評価が先行する分野などでは、その世界の「ドン」におべんちゃらを使える奴だけが生き残る、いびつな日本社会の構図の反復しか招かない。最低でも、公的予算で行われた調査はすべてマイクロデータまで公開することを義務づけない限り、東大の偉い先生の弟子筋だけが得をする状況は変えられないだろう。</p>
<p>世代間対立というのは、実際には平等なものの言い方だ。年長世代には得をした人間しかおらず、若年層には損をした人間しかいない、そういう話だ。だが現実には、その損得は相対的、あるいは確率論的なものでしかなく、同じ世代の中でも「断層」が生じている。そして、世代間対立に託された避難の矛先は、むしろその断層に向けられていることが多いのだ。<a href="http://blog.szk.cc/wp-content/uploads/2010/03/100324.jpg"><img style="border-bottom: 0px; border-left: 0px; display: block; float: none; margin-left: auto; border-top: 0px; margin-right: auto; border-right: 0px" title="100324" src="http://blog.szk.cc/wp-content/uploads/2010/03/100324_thumb.jpg" border="0" alt="100324" width="470" height="313" /></a> 上の図で言うなら、世代間対立の中で不遇な位置にある人の中にも、A’とB&#8217;の間の断層が存在している。たとえば物部のような人は、A&#8217;の立場にいるわけだから、世代間対立を原因となっている対象は、Bの人たち、つまり、世代が上と言うだけで評価されている、しかし年長世代の中でも断層の下にいる人たちだ（点線の矢印）。だから彼は、Bの人も、B&#8217;の人も切り捨て、間引きすることで、自己責任に基づく評価システムを完成させようと考える。</p>
<p>それに対して、物部に協力しつつも最後は彼へも怒りを向ける「既得権批判者」結城はB&#8217;に属している。これまでの階級闘争的な世界観の中なら、結城は実線の矢印の格差を生んでいるシステムを批判し、B+B&#8217;の共闘をもくろんだかもしれない。だが「世代間対立」という構図に落とし込まれて理解された彼の不遇は、結果としてBとB&#8217;との格差へも怒りを向けさせる分断統治の機能を果たし、Bに対する「健全な競争への参加」を要求させられることになる。結果としてできあがるのは、「A&#8217;＞A＞B&#8217;＞B」という序列のシステムだ。</p>
<p>その逆説を生んでしまう理由はなんだろうか。大きな意識の差になっているのは、AとBの断層を生む評価システムと、A&#8217;とB&#8217;の差を生む評価システムへの理解だろう。より簡単な言い方をすれば、BもB&#8217;も、「真面目な人が報われない」ことに苛立ちを覚えているが、その「真面目な人」の内容が変わっているのだ――「黙々と言われたとおりに働く善良な人」から「競争でうまく立ち回れない不器用な人」へ。</p>
<p>滝沢は最終的に、A+BからA&#8217;+B&#8217;（とりわけB&#8217;への）資源移譲を求めるが、結局はうまくいかず、B&#8217;の中での協同生活という、見事な団塊世代の再生産へと行き着いてしまう。僕はこの結末はあまり評価できないけれど、ひとついいところがあるとすれば、世代間対立の構図が結局誰を不幸にするのかを示し、それ以外の希望を示そうとしたところにあるだろう。</p>
<p>僕が考えているのは、世代間の不平等を招いている構造的な問題と、両者の感情的な対立は別に考えるべきだし、その上でAからBへと、A&#8217;からB&#8217;への分配を分けて構想する想像力が、どうやったら獲得できるだろうかということだ。A+BからA&#8217;+B&#8217;への分配は政治や経済のシステムで、世代内での分配は経済と感情のシステムで行うという二重構造を作るべきだし、ノブレス・オブリージュというならその方が適切だ。</p>
<p>現実に、そうした世代内分配を可能にするための協同作業は、若い世代の中で始まっていると思う。『思想地図』やその周辺人脈だけでなく、それはいろんなところで芽を出し始めている。「ちゃんとしようよ」というかけ声が、こうした協同作業を阻害し、「健全」な「既得権獲得競争」を推進する帰結を招くとすれば、それはとても残念なことだと思う。</p>
<p>その意味で、今回の『思想地図』で一番すてきだなと思ったのは、佐藤論文に織り込まれた強いジレンマの感覚だ。彼は、誰よりも「ちゃんとする」ことの価値を分かっていながら、「ちゃんとする」ことによって注目を集めてしまうことが、最新の学術的な成果から乗り遅れてしまうという現実をも直視している。世代間対立に着目して声を上げ、その声が聞き入れられるくらい「売れる」ほど、自分は健全な競争環境から落ちこぼれてしまう。ちゃんと研究したいと思うほど割を食うから、制度改革へのインセンティブは低下するというオチだ。だとするなら必要なのは、「ちゃんとする」人と「売れる」の人との間に、互いをインチキだとかセンスがないとか批判するのではなく、補完的な関係を築くことであるはずだ。制度を変えられる人より、その関係を築くことができる人を、僕は自分の世代のリーダーだと認めたいと思う。</p>
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		<title>9月のいただきもの＆読書</title>
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		<pubDate>Wed, 30 Sep 2009 14:00:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>charlie</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>
		<category><![CDATA[ロスジェネ]]></category>
		<category><![CDATA[感想]]></category>
		<category><![CDATA[消費社会]]></category>
		<category><![CDATA[繋がり]]></category>

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		<description><![CDATA[今月も色々といただきました。どうもありがとうございます。 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) posted with amazlet at 09.09.30 高原 基彰 日本放送出版協会 売 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>今月も色々といただきました。どうもありがとうございます。</p>
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</div>
<p><span id="more-579"></span><br />
Life周りでも話題の高原君の新著。草稿をいただいたときには、「日本の反近代」ってタイトルにして、構成も入れ替えて現代の社会問題の底に流れる思想についてアピールする本にしたら、なんて無茶なコメントを振ったりしてたな。そんなわけで、大胆な分析と主張とか言われているけど、僕からするとむしろ手堅くまとまったなという印象。というか俺の目の付け方ががエキセントリックすぎるのか。</p>
<p>この種の本ってたいてい、どのくらい取り上げる意味があるのかも分からない仮想敵を設定して、それを批判するっていうスタイルを取りがちで、それがどんなに「実証的」に書かれていようとも、そもそも問題設定の段階で的外れですから、っていうのが多い。この本もある意味「昭和の安定に憧れるロスジェネ」という仮想敵を批判的に分析した本として受け止められるだろうし、そのことでいらん反応を招きもするだろうな、と思う。けどこの本の面白いところは、そうしたイメージの前提となる「社会の理想」を、政策形成プロセスの中から抽出し、問題設定に客観性を持たせている点だと思う。そこを見落とすと、ただの「立ち位置系」に見えちゃうんだよね。</p>
<p>ただ問題は、高原君自身にそうした「政策論」への関心が皆無であることと、その「政策論」と私たちの中の「理想」がどのように関わっているのかが、どうにも見えないことだ。その「理想」は、ほんとうにみんなに共有されていたのだろうか？「自由か安定か」の二項対立の中、安定へとアクセスする手段を欠いた人々の自由に対する相対的剥奪感がドライブされる、というのは、僕も書いてきたことだけど、昭和だって別にずっと「安定の時代」だったわけではないはずで、歴史過程に言及するなら、そのあたりの「社会意識」に対する検証は必要だろうな、と思う。ベタな政策論をやる必要はないと思うけど、たとえば内田隆三さんなんかがたまにやる「政策のことばの言説分析」みたいな方法に手を出さないのだとしたら、これからこの議論を踏まえてどこに行くのかな、とか思った。以上自分のことは棚上げの感想。</p>
<p>あとは本人にも言ったけど、『現代日本の転機』ってこの明らかに中国・韓国で翻訳されることを意識したタイトルはどうよ、っていうね。</p>
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</div>
<div class="amazlet-footer" style="clear: left"></div>
</div>
<p>高原君のお師匠に当たる遠藤さんの新著。いつも思うのだけど、高原君の手堅くまとめようとする文体は、遠藤さんの俺に優るとも劣らないエキセントリックな論理展開に対するリアクションなんじゃないかという気がする。というわけで僕としては読んでいて本当に面白いのだけど、いったいどれだけの人がこのおもしろさを理解できるのかなあとちょっと不安になる。</p>
<p>本書の基本的な見取り図はこうだ。一般的に現代的プロセスとして理解されているグローバリゼーションには、歴史的に長い間続いてきたプロセスという側面もあり、特に文化や情報の領域でそれは顕著である。本書では特に、グローバル文化が立ち上がる19世紀末から20世紀初頭の消費文化の中に存在した、「聖なるもの」のイメージを抽出し、それが現代にまで続く消費文化の核となっているのではないかという仮説に基づいた言説や事例の分析が行われる。キューピーちゃんやビリケンさん、クリスマスなどのアイコンが消費化されていくプロセスを通じて検証されるこの仮説は、ものすごく「大胆」かもしれないが、僕から見れば現代の消費社会論とまっとうに結びつくとても鋭い視点だと思う。というか今年自分が調査しているショッピングモールも、こういう話の延長線上に据えることができるのだろうな、と思った。</p>
<p>消費の中に「聖性」が入り込むのは、消費が消費である限り近代の普遍的な現象だと言えるだろうけど、それをメディアがどのように広め、定着させてきたのかについて知ることは、当時の問題だけでなく、現代の問題について考えるきっかけにもなる。なぜ「安売り」は「フェア」や「フェスタ」などの「祭り」の表象で語られるのか。なぜ郊外のショッピングモールのような消費空間が「夢の国」の体裁を取らなければならないのか。そこにはおそらく「家族」をコアとする現代の消費空間の帯びる「聖性」の問題が絡んでいるはずだ。</p>
<p>とまあこういう風に考えれば面白いのだけど、ただそれは、アメリカと日本という、宗教的に特殊な文脈を持った地域を主たる対象としているから、という面は確実にある。逆を言えばヴェーバーが「なぜヨーロッパで資本主義が発達したのか」と問うたように、「なぜ日本とアメリカで消費社会が発達したのか」について問わなければ、このアプローチは単なる現状肯定・否定の材料にしかならない。いろいろとひらめきを与えてくれる本でした。</p>
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<p>訳者の田畑先生から拝受。原著は96年だけど、ものすごく鋭い視点が詰まっている。というか『ウェブ社会の思想』の構成と、ちょっと似てるんじゃないのかという気がした。著者はここでタイトルにもなっている「サイバーシティ」を、仮想空間の中のメタファーとしての都市だけでなく、そうした言説を成り立たせている現実の身体性や、それを前提とした身体からの解放の文脈までをも、つまり言い換えれば「サイバー」なものをめぐるアクション－リアクションの総体を「サイバーシティ」と位置づけているのだと読んだ。ウェブが現実空間と生身の身体へ浸食し、それがウェブの現実を構成するというイメージは、僕がずっと考えていたことのひとつだし、現在でも進行中のプロセスだと思う。</p>
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<p>著者の奥野先生から頂戴する。奥野さんのライフワークである情報人類学について、久しぶりにまとまった論考が出てきたという感じ。第1章で、人類学にルーツを持つその調査の手法と射程がきちんと紹介されていたり、第3章では情報社会論の系譜が丁寧にレビューされていたりと、教科書としてもとても使いやすいものになっているなと思った。</p>
<p>それとは関係のない話だけど、随分昔に人類学の人から、僕が本で扱うネットの世界の描き方が、とても人類学的な手法に似ていると言われたことがあって、へーそんなもんかと思ったことがある。まあ確かに、対象の中に入り込みはするけど、決して共感しているわけでも、単なる「当事者」でもないというポジションから現象を見るのは僕のスタイルなのかもしれないし、何より「当事者性」を担保にした周囲の仲間の研究に、より広い文脈への志向を感じられずに食い足りなさを感じていた僕にとっては、必然的にそのような距離しか取れなかったのかもしれない。本書における「情報人類学」のアプローチについて読んで、こういう形で体系化されることがあれば、自分の考えもノウハウとして継承可能になるのかな、などと偉そうなことを思ったのだった。</p>
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		<title>7月のいただきもの＆読書</title>
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		<pubDate>Fri, 31 Jul 2009 14:00:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>charlie</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>
		<category><![CDATA[ロスジェネ]]></category>
		<category><![CDATA[感想]]></category>
		<category><![CDATA[社会]]></category>

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		<description><![CDATA[今月も、自分で買って読んだものの一部を含めてご紹介。 吉本隆明のDNA posted with amazlet at 09.07.31 藤生 京子 朝日新聞出版 売り上げランキング: 8439 Amazon.co.jp  [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>今月も、自分で買って読んだものの一部を含めてご紹介。</p>
<p><span id="more-500"></span></p>
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<p>著者の藤生さんからいただきました。姜さん、上野さん、宮台さんといった社会学者を含め、団塊から50代の世代にとって、吉本隆明という人がどういう意味を持っていたのかを聞いたインタビュー集。そこから見えてくるのは、「知識社会の外側」としての吉本がもたらした衝撃だ。良くも悪くも、戦後社会の大衆性をぶっちゃけちゃったというか。それがどこに繋がったのかという意味での「DNA」は、特に現代においてはよく分からないけれど、以前Lifeでも喋った「思想の科学－吉本隆明－講壇マルクス主義」の三対の図式は、論壇的な対立の意味を考えるときには、いまでも有効なんじゃないか、と思う。</p>
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<div class="amazlet-info" style="float:left;margin-left:15px;line-height:120%">
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<p>前者は担当編集の方から、後者は著者の和田さんからいただきました。毛利さんの本では、カルチュラル・スタディーズの立場からストリートのアクティビティを評価し、ポストモダン思想が脱政治化されていくのと入れ替わるようにして登場したそれらの「ストリート」が、政治性を帯び始めていることが指摘されている。むろんこうした「年代論」は、常に「偽史」でしかあり得ないし、納得できる部分も、そうでない部分もある。ただそういう「90年代の転換」を語るアクターが複数存在すること自体には、十分意味があると思う。</p>
<p>和田さんの本では、これまで書かれたいくつかの文章を集めながら、ランシエールの思想を軸にした「実存主義的な政治」の意味が語られていると読んだ。政治問題化されることで、その問題をつくり出す要素、いち客体として構成されることに抗う権利としての「街路への権利」を求める和田さんの主張は、ルートも結論もだいぶ違うとはいえ、毛利さんの本に通じている部分がある。</p>
<p>というより、両者はともに、ふたつの意味で00年代的な〈政治〉に抗おうとしているのだと思う。ひとつは、いわゆる既存の「左翼」の語り。和田さんは「フリーター」という「蔑称」が、社会問題化された瞬間にアイデンティティとして機能し、虐げられた人々という正当性を得る、その構図自体を批判する。すなわち、何かに抗おうとすることでは、誰かがその構図を生み出すことに抗えないことを告発しようとしているのだ。彼らにとってその構図を生み出す元凶は、既存の政党左翼とマスメディアの結びつきなのだろう。</p>
<p>そしてもうひとつの〈政治〉とは、それにも関わらず彼らがそこに「政治性」を見出していることからも明らかなとおり、「脱-左翼（反左翼ではない）」の極北としての価値相対化や、いまここでの現状に満足しながら生きるような人々、それを肯定する00年代的ポストモダンへの抵抗だ。おそらく彼らにとって、こうした一見価値中立的で、個人の自由を肯定する議論こそが、資本主義の原理による人間の序列化を肯定するという意味での「新自由主義イデオロギー」と結託し、その広がりを後押ししているということになっている。その非政治的な〈政治〉性は、隠蔽されているがゆえに許し難いものなのだろう。それに抗するための「政治」が、ストリートのポテンシャルとして存在しているというわけだ。</p>
<p>けど正直、僕はその図式は分からないでもないけど、随分と的を外した藁人形叩きだなあとも思う。ポストモダン思想が消費社会と結託して社会への批判性を失わせるかどうかなんて、それこそ吉本－埴谷論争の頃から問題になっていたことだし、まして知識人・言論人・文化人のポジションが当時よりはるかに後退しているいま、たかだか1万部程度の流通の本を書いている論者が新自由主義を後押しするとか、どう考えてもあり得ないだろう。この点では、経済政策と戦後の政治史を材料に社会分析をする後藤道夫のような人の議論の方が、はるかに説得力がある。</p>
<p>ちなみに僕自身は毛利さんや和田さんの言うことそのものには賛成で、というより一昨年の紀伊國屋書店でのイベント以来言い続けている、文学とか実存の価値の見直し、っていうのが、まさにそれに当たっている。実存の語りを政治化する回路が容易に生まれていることと、それに対するカウンターとして、実存から完全に切り離された「科学的」施策が打ち上げられる（べきだ）という主張の間の対立、いわば「市井の人々の実存を賭金にした政治」こそが、特に00年代に新自由主義的な政策や考え方を浸透させる要因になってきた、というのが僕の考えだ。それに抗おうとすれば、実存を政治化されないままに温存し、彼らのそのような領域を温存するために「科学的」手法を用いることが必要になるのではないか。</p>
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<p>気鋭の階層論、若年雇用の研究者による教科書。近年の若年雇用について一般に言われていることと、階層論の種々の道具立て（階級論から実証データまで）を対比させつつ、現状がどうなっているか、どのような対策が必要であるかについて述べられている。カバーする範囲は妥当な広さだし、実証的な裏付けをもって、非正規雇用におけるジェンダーの問題や、ロスジェネだけが特別に不幸なわけではないことを明らかにしているなど、僕が今まで書いてきたこととも繋がる――というより社会学者なら当然そう書くはずの――論点が列挙されていてとても役に立つ。</p>
<p>一方で残念なのは、政策的アウトプットの弱さだ。「はじめに」の部分では随分と威勢よく、次のように語られている。</p>
<blockquote><p>あるとき非正規雇用について授業で議論していたら、ある学生が「いくらこんなことを教室で議論しても、非正規雇用はなくならないし、格差も埋まらない」といった悲観的な意見を述べたことがあった。このようなペシミズムは、私たち社会学者が生みだしたものである。社会の将来に対して何の展望も示さず、事実を並べ立てて曖昧な解釈を加えたり、一見面白い「ものの見方」を提示するだけで、社会を改善する可能性について地道に探求することを怠ってきた私たち社会学者が、社会と社会学に対する絶望を生んできたのである。<br />
非正規雇用について研究するのは、非正規雇用の現状を正確に把握し、評価し、状況を改善する策を知りたいからである。価値判断や政策提言から逃げていては、何のために研究しているのか分からない。著書は、学術雑誌の論文と違って同業の研究者のチェックを受けていないので、質の高さの保証は受けられないが、そのかわり自由に価値判断や政策提言に踏み込んだ議論ができる。</p></blockquote>
<p>まったくエビデンスのない主張であることを除けば、正しいことをおっしゃっている、と思う（ちなみに著者は、データのある現状の把握についてはとても実証的だが、それ以外の部分については思いこみや無根拠な断定による非難が目に付く。こうしたダブルスタンダードを平気で採用する人が、なぜか「実証」の大切さを説く人に多いように思えるのは、僕の認知バイアスなんだろうか）。では、その踏み込んだ政策提言とはどのようなものか。</p>
<p>まず挙げられているのは、コンパラブル・ワース（同一価値労働・同一賃金）の原則にのっとり、賃金格差を一定程度認めつつも、必要に応じて政府支出などで、人生のさまざまな局面でかさむ支出をカバーすべきだということ（P59）。それから、教育の階層化と標準化、具体的には高校の職業科の拡充と全国統一テストの導入（P163-165）。最後が、エスピン=アンデルセンを援用しつつ、日本を社会民主主義レジームへと近づけていくということだ（P175 ）。</p>
<p>2点目の教育については、著者も述べるとおり一定の留保が必要だけれども、ある程度納得できる。しかし1点目と3点目、とくに社会民主主義レジームについての議論はいただけない。ライフステージに応じてお金がたくさん必要な時期に、現行のザルのような制度ではなく、きちんと政府保障を受けられる仕組みは絶対に必要だ。しかし、そんなことはみんな分かっているのだ。むしろ問題はその財源をどのように確保し、また配分するかということであるはずだ。そしてその点についての実証的なモデルは、既に経済学や社会保障論などでたくさん論じられているのである。</p>
<p>また社会民主主義レジームにしても、「日本の文化的伝統を振り返ってみるに、決してアングロサクソン型の自由主義レジームと親和性があるわけではない」（P175）と論じているが、こちらについても、アングロサクソン社会が個人主義の自由競争社会で、日本はそれとは異なるという「神話」が、実証的に誤りであることが既に社会心理学者たちによって何度も指摘されている。それだけでなく、海外の社会民主主義モデル（例えば北欧など）を、どのように日本型にアレンジすることができるかという点についても、宮本太郎さんたちのチームを始め、政治学でかなりの実証的な蓄積があるし、経済誌のレベルですらもうちょっと丁寧に取り上げているはずだ。</p>
<p>本書で一番残念なのは、こうした蓄積がほとんどスルーされ、社会民主主義レジームに向かうために一般市民ができることとして、労働組合を支持すること、社民政党に投票すること、といった、ごくごく一般的な「解決策」しか述べられていないということだ。確かに市民にできることは少ないかもしれないが、政治制度を選ぶのはその市民なのであり、彼らが社会民主主義レジームの中身や、日本への応用可能性について少しでも理解していなければ、結局はお仕着せの「左翼」の政治に回収されること――有象無象の一票になること――しか、できることはなくなってしまう。それはあまりに有権者を馬鹿にした発想ではないのか。</p>
<p>格差なんてなくならない、という社会学へのペシミズムを生み出したのは、いいかげんな社会解釈を振り回す自称・社会学者ではなくて、政策提言をすると称して、さんざん数式を勉強させた挙げ句、しょーもない一般論を結論に持ち出す社会学者なんじゃないか、と思う。読み終えて、ああ社会学は政治学や経済学に比して、非正規雇用問題についての政策提言能力は著しく劣るのだな、と皮肉のひとつも言いたくなった。本書の言う「政策提言」とは、あくまで「何をすべきか」という水準の話であって、「それをどうやって達成するか」といった話は、どうやら学者の仕事の領分外だということになっているらしい。</p>
<p>ちなみに普通に教科書として書かれている部分はとても充実している。個人的には階層帰属意識の問題など、階層論からでも社会学の理論的な醍醐味に迫れる部分はあるのに、さらっとしか触れられていないのがもったいないなとか、思うところはあるけれど、教科書指定するにはとてもコンパクトで役立つ本だと思う。それだけに返す返す残念なのは、どうでもいい藁人形叩きが散見されることだ。根拠なく構築された仮想敵叩きこそが逆機能をもたらすという点に対しては、左翼も、ストリートも、実証主義者も、同じように鈍感なのだと思う。</p>
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<p>佐々木さんの新刊。めんどくさい本である。別に貶しているわけではなくて、どのように本書を取り上げようとも、それ自体が既に本書の中に既に折り込まれた主張のようになってしまうからだ。そりゃもちろん、多くの人が、佐々木敦の初の新書として浅田、宮台、東という、昨今の「思想」のド本命ラインを選んできたことに、驚きを禁じ得ないだろう。むろんそこにも著者なりのオリジナリティはあって、例えば本書では上野千鶴子や仲正昌樹が「ポストモダン」を語るときの定番である、連合赤軍と消費社会化の問題についてはほとんど触れられず、一方で80年代を起点とした「その後」の展開／転回がメインテーマになっている。</p>
<p>多くの本が、90年代以降の流れについて、「80年代の歪んだ帰結」的な扱いになっているのに対して、今の若い子が読みたかった――そして当時を知る人が納得のいく――「偽史（あるいは稗史）」が出てきたことは、とても大事なことだ。ただ、こうした「大阪風のたこ焼きしかないから明石焼きを作ってみました」流のアプローチは面白いのだけど、「でも佐々木さんパスタとか作れましたよね?!」とも思うわけだ。まあ、きっと本書に続く作品が、たらこスパゲッティもびっくりのアレンジ・パスタになっているのだと思うんだけど。</p>
<p>しかし本書を読んであらためて思うのは、「ポストモダン」なる思想のややこしさだ。本書で引かれている蓮見の指摘にも繋がることだけれど、ほんとうのポストモダンは、モダンとかポストモダンが意識もされなくなり、それこそポストモダン的な原理に則ってポストモダンが徹底批判されることなのだと思う。その意味で、パフォーマンスとして現状肯定が導かれた80年代と、思想の否定と現状否定が共犯する00年代は、原理において完全に地続きだ。僕はそれをポストモダンとは呼ばないし、ましてポストモダニストですらないけれど、そういう扱い方で00年代の風景を描写すれば、来年辺りの（局所的）ベストセラー狙えるんじゃね？とは思った。</p>
<p>追記：前の職場に届いていたものや、紹介できていなかったものも挙げておきます。</p>
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		<title>ふたつの「保守化」現象：雇用とジェンダー</title>
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		<pubDate>Fri, 05 Jun 2009 14:00:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>charlie</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>
		<category><![CDATA[ロスジェネ]]></category>
		<category><![CDATA[思考]]></category>
		<category><![CDATA[社会]]></category>

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		<description><![CDATA[「若者の保守化」は、ここ数年、研究者の間でも話題にされるようになったテーマだ。もちろん、その内容に是非はあるんだけど、少なくともそういう素材を研究テーマとして選ぶことが妥当だと感じられるくらいには、「保守化」は共通了解に [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>「若者の保守化」は、ここ数年、研究者の間でも話題にされるようになったテーマだ。もちろん、その内容に是非はあるんだけど、少なくともそういう素材を研究テーマとして選ぶことが妥当だと感じられるくらいには、「保守化」は共通了解になっているのだろう。たとえば関東社会学会の機関誌である『年報社会学論集』では、2007年に『「保守化」の社会過程を読み解く』と題した<a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/kss/annual_report/vol_20.html" target="_blank">特集</a>が組まれている。</p>
<p>それ以外にも、たとえば友枝敏雄「現代青年の規範意識の変容――個人化と保守化の同時進行」（日本青年心理学会大会発表論文集）では、福岡県内の高校を対象にした調査から、「(1) 高校生の規範意識は、大人世代のそれとは大きく変化しており、若者のモラルの内容が大きく変化しているのではないか」「(2) 高校生の社会観、国家観に保守意識が浸透しており、いわゆる有名大学進学するエリート校ほど、ナショナリズム的な意識が強い」という知見が提示されている。特に第2の知見については、「55年体制下での「保守－革新」図式に準拠した保守意識ではな」く、「現状を肯定した上で、多くの問題を「心の問題」として解決したいという意識の現れ」であると述べられている。隣接分野でも、政治学などではこうした意識調査はよくあるようだし、学会報告などでも一本は見かけるようになった。</p>
<p><span id="more-420"></span></p>
<p>ただ、ここで「保守化」と呼ばれているものは、むしろ「若者の意識の右傾化」と呼ばれるべきもので、排外主義的主張やジェンダーフリー・バッシングなどの現象を念頭に置いている場合が多いように見える。00年代の半ば頃には、論壇などでもこうしたテーマを扱ったものが多かったと記憶している。04年のイラク人質事件でのバッシング現象やネット上での排外主義などと絡みながら、「右傾化・ネット・若者」がセットで論じられていた時期だった。こちらについては僕も関わった実証研究の中で、現在、こうした人々はごく少数であることが分かっている。</p>
<p>だが近年注目を集めているのは、それとは別の角度で語られる「保守化」だ。つまり、雇用や性別役割分業に対する意識が、近年「反転」し、「昭和回帰」しているのではないかということである。たとえば、内閣府の<a href="http://www8.cao.go.jp/survey/h19/h19-danjyo/2-3.html" target="_blank">「男女共同参画に関する世論調査」</a>では、2002年と2004年の結果を比較した場合、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「賛成」と答えた割合は、20代女性で1.7ポイント、30代女性で7.6ポイント増加している。つまり、性別役割分業に賛成する若年女性が増えたということだ。経年比較ではないが、今年の<a href="http://www.gender.go.jp/whitepaper/h21/zentai/top.html" target="_blank">『男女共同参画白書』</a>においても、同じ項目について聞いた別の調査で、「賛成」と答える20代・30代の女性が、40代・50代に比べて多くなっていることが指摘されている。</p>
<p>雇用に関しては、財団法人日本生産性本部の<a href="http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/mdd/activity000914.html" target="_blank">「新入社員意識調査」</a>がよく参照される。今年の調査においても、「今の会社に一生勤めようと思う」という回答が過去最高（55.2%）となったことが報じられたが、同調査のその他の結果を見ても、終身雇用・抜け駆け禁止・組織への恭順といった傾向の高まりがうかがえる。</p>
<p>実はこうした傾向は、若者の「右傾化」が論じられていた00年代の半ば頃に既に明らかになっていた。第一生命経済研究所が発行している<a href="http://group.dai-ichi-life.co.jp/cgi-bin/dlri/life_d_report.cgi" target="_blank">『ライフデザインレポート』</a>では、2004年の3月に「保守化する新入社員」、2005年の9月に「性別役割分業意識の変化」という記事が掲載されている。それぞれ、上記に述べたような傾向について扱った短文だ。</p>
<p>いずれのレポートにおいても、若者たちの「保守化」の原因は、不況や雇用情勢の悪化に求められている。現在でも、雇用不安と収入減少で「安定志向」が高まっているという風に、こうした現象は説明される。しかし、データを見る限りその立論には疑問が生じる。バブルが崩壊して20年、若者の雇用情勢がもっとも深刻だった2000年前後から約10年、「不況」は常に日常の風景として僕たちの周囲を取り巻いていたはずだ。もし不況だけが原因なら、10年前にも同様に「若者の保守化」が観察されなければならないはずだ。しかしながら実際には、「保守化」はこの10年ないし5年の間で急速に進んでいるのである。しかもこの間、景気や雇用情勢はむしろ良好だったはずなのだ。</p>
<p>ただし、そうした見方に当てはまらないデータもある。先の「男女共同参画に関する世論調査」において、仕事優先の生き方と、家庭・地域生活優先の生き方、男女それぞれにどちらの生き方が望ましいかを聞いた項目では、97年と04年を比較した場合、実は男女ともに「仕事優先」の生き方を望ましいとする回答が増えている。この項目について分析した『ライフデザインレポート』の松田茂樹の記事では、「女性の生活は家庭・地域優先と答えた割合は、若年女性の方がその上の世代である40-50代の女性よりも高くなっている」と述べられているが、20代女性で4.3%だった「仕事優先」の回答が、24.2%まで上昇していることも見逃してはならない。仕事をしたいと望む女性は全世代で増えているが、上の世代と比較した場合に、その割合が比較的小さいということが、若年層の「保守化」と呼ばれている現象なのである。</p>
<p>雇用についても同様で、確かに終身雇用志向は高まっているのだが、その反面、仕事にやりがいを求め、自己実現を志向する傾向は、一貫して強くなっている。この点を勘案すれば、若者は雇用に対して保守化しているというより、雇用を通じて達成したい目標は変わっていないが、その達成のための手段が保守化していると見ることができないか。不況期だからこそ「脱終身雇用」が目指された10年前と、不況期ゆえに「終身雇用」が志向される現在。両者の違いを導いている変数は、他にあるはずだ。</p>
<p>感覚としては、この「反転」にはさもありなんと思うところもあるし、そのメカニズムについても大体の予想は付く。雇用機会均等法第一世代の40代と、就職氷河期とITバブルで「フツーの就職」の外に可能性を見出すほかなかった30代と、そうした輝きが（ごく一部の「意識の高い」高学歴層を除いて）失われてしまった20代では、雇用やジェンダーに対する期待値や、期待はずれの水準は大きく異なるだろう。ただそれを事後的に検証するのは困難だし、特に僕ら30代の「あの頃」の感覚を検証してくれるデータとなると皆無だ（たぶんドキュメンタリー番組のインタビューとかになるんだろう）。</p>
<p>「景気が悪いせい」という物言いは、「景気がよくなれば全て元通りになる」という期待の裏返しだ。けれど00年代後半の好景気にも関わらず「保守化」は進行した。過去のデータの意味づけは、現在の状況によって容易に変わるし、多くの人はそのデータが取られた時点のことを忘れて数字だけを見てしまう。もちろん問題もたくさんあるけれど、数字の向こうに「生きた人」がいたことを読み取る手付きについて、見田宗介先生の本から教わることは多いと、あらためて思う。</p>
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		<title>心温まる「ローカルニュース」</title>
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		<pubDate>Fri, 08 May 2009 14:00:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>charlie</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>
		<category><![CDATA[ロスジェネ]]></category>
		<category><![CDATA[社会]]></category>

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		<description><![CDATA[大型連休、という言葉は、僕にとってほとんど意味をなさないものだった。会社に行かない時間は休みの時間なんてライフスタイルには縁がなかったし、何日も仕事もせずに家でのんびりとか、不安が募らないんだろうかと思ってしまう。昔、風 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>大型連休、という言葉は、僕にとってほとんど意味をなさないものだった。会社に行かない時間は休みの時間なんてライフスタイルには縁がなかったし、何日も仕事もせずに家でのんびりとか、不安が募らないんだろうかと思ってしまう。昔、風俗嬢に食わせてもらってた友人が「毎朝女が置いてった金でパチンコして帰って寝るだけの生活を続けてるとさ、3ヶ月くらいで、人間がダメになっていくのがよく分かるんだよ」って言ってた。遅えよ、と思ったけど、僕の場合は少しせっかちすぎるのかもしれない。</p>
<p>そんなわけで、人生で初めてかもしれない「大人の大型連休」を手にした今年は、見事に目標のアノミーの状態に陥り、とりあえず積みゲー消化が我がベルーフなのだとか意気込んだり（結局進まなかった）、TSUTAYAで名画を借りてくるなんていう正しい休日の過ごし方を実践してみたりしたのだけど、それでも時間は余るわけで、夕食時にはNHKのニュースとかドキュメンタリーとかを真面目に見ちゃったりしていたのだった。</p>
<p><span id="more-359"></span></p>
<p>東京を離れてあらためて意識するのは、ニュースのローカル枠だ。もちろん東京にだってローカル枠はあるのだけれど、この土地のローカルニュースは、実家にいた頃に見ていた情報番組と同じで、基本的にハートウォーミング。亡くなったおじいちゃんが大事にしていた藤の花とか、地元の警察官の真摯な取り組みとか、客寄せのために副業を始めたSSの店長とか。ありとあらゆる出来事が「温かい絆に支えられる地域社会」を表象するものになり、そして実際にそれが地域の現実を構成していくのだ。</p>
<p>そのことを強く感じたのは、6日に放送されたNHKスペシャル<a href="http://www.nhk.or.jp/special/onair/090506.html" target="_blank">「“35歳”を救え あすの日本 未来からの提言」</a>だ。翌日の「日本の、これから」の「未婚社会」もたいがい酷かったけど、NHKの悪い面がばっちり出ていたという点では、前者の方が溜息ものだった。</p>
<p>まず語られるのは、35歳の団塊ジュニア世代が置かれた、親世代の理想に裏切られた姿。雇用は流動化、結婚も出産も出来ないのがいまの30代のリアルであり、彼らは苦しい状況に置かれていることが描かれる。「自分はもう結婚は出来ないんだな」と諦める男性が登場し、「私たちの時代とは違うんですね」と、年配アナウンサーが繰り返す。</p>
<p>翌日の未婚社会でも、63歳の男性が「結婚にとらわれる必要はない」という意見に対して「誰が自分を生んで育ててくれたと思っているんだ」と批判していたのだが、何を言うか、未来のない田舎を出て、都会でサラリーマンの収入に支えられた核家族を築いたのは、まさにこの世代ではないか、と思ったのだけど、それに近い感想だ。「私たちの時代」の生き方は、世界的にもごく短い期間にだけ、一部の先進諸国で広がった「標準モデル」に過ぎない。全体の約3分の1がそうした生活を享受できたことを多いと見るか少ないと見るかは微妙だが（僕はすごい率だと思う）、その輝きが現実として息づいている様は、はっきりと見て取れる。</p>
<p>そこでイギリスの積極的雇用政策が紹介され、ギデンズ先生が登場。お元気そうで何より。僕の記憶では彼は「これまでの技術蓄積が陳腐化していく時代には、職ではなく人への投資が必要」ということを述べていた。だが番組ではその後、前段の部分についてはアナウンサーが一瞬だけ触れるのみで、「人への投資」の事例を紹介していく。オバマ政権においても、環境やITへの投資を通じた雇用創出が掲げられているにもかかわらず、新産業の可能性や必要性は完全スルーというわけだ。</p>
<p>代わりに出てくるのは、町工場での職業訓練や、住宅提供を行った自治体の政策。要するに、「人への投資とは、視聴者の皆さんが住んでいる田舎町に、若者が帰ってくるということです」という意味でしかなかった。むろん、日本の中小企業の競争力は今でも健在だし、支出を圧迫する高い家賃は問題だろう。でもこうした形で雇用政策が論じられると、日本の未来とは「ネジを作らせたら世界一」の国として、中国やベトナムの下請け仕事をやることなのじゃないかと思えてくる。ある人々にとって誇りある仕事を貶めるつもりはないし、そういう未来もあり得るのかもしれないが、それが「視聴者の皆さん」の子どもたちの何を奪うことになるのかについての想像力は、NHKでなければ誰が涵養できるというのか。</p>
<p>「地方のおじいちゃん・おばあちゃんでも分かるように」、と、NHKで仕事をするとたまに言われる。そんな人はどこにいるのだろうと思っていたけれど、きっと一定数いるのだ。そもそもテレビはもう中年以上のものだし、どれだけ広くとっても昭和生まれの想像力を再生産することしかできていない。そこにNHKという変数が介在すると、あのローカルニュースと同じく、「ありうるはずの温かい地域社会」が、理想の投影ではなく、失われゆく、守られるべき現実として立ち上がることになる。しかしながら、それが人の善意によって支えられるべきものだと表象される限り、実際には若い世代に負担がのしかかり、彼らの可能性を剥奪することに繋がるということは、意識されようがない。</p>
<p>ある環境や制度が選択され、保持されるべきだと考えられるとき、僕たちは往々にしてそれを可能にした条件のことを忘れがちだ。特に世代の再生産が絡むと、話が厄介になる。ロスジェネ（笑）問題の一番面倒な部分は、欧州の15年遅れでやって来た社会の構造変動の影響が、いわゆる「黄金時代」を生きた世代の子ども世代を直撃したということだ。彼らは、彼らの親が歴史上初めて「当たり前」のものとして享受することのできたライフコースを内面化した後、現実の構造変動に直面したため、親世代の夢に「裏切られた」感覚を保持しながら、新しい環境に適応することを求められている。</p>
<p>親子の価値コンフリクトと社会の構造変動というテーマで思い出されるのは、デビッド・リースマンの『孤独な群衆』だろう。あの本では、いわばベンチャーの時代から会社人間の時代への変化と、そこで生じる親子の価値観のズレが主題になっていた。いま生じているのは、それと逆の変動だろう。さらに言えば、リースマンの頃の「お父さんの時代とは違うんだ」という言い返しが、自分たちこそ安定的で恵まれた環境を生きられるという期待に支えられていたのに対して、団塊ジュニアは、我々は父母たちのように恵まれてはいないんだという意味で、この言葉を使うのである。</p>
<p>新しい時代は、放っておいても勝手にやってくる。だから革命に参加しないことは別に罪じゃない。その代わり後悔を残すなよ、と呟いたのはBoss The MCだ。参加しないというリアリティを僕は尊重するし、その中で生きていこうとする人々はまぶしいと思う。けれどテレビで心温まるローカルニュースを見る度、僕はこの温かさの中にカウントされはしないだろうし、だからこそ参加する道を選ぶしかないのかな、と思うのだ。</p>
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		<title>見失うほどの平和</title>
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		<comments>http://blog.szk.cc/2009/04/10/lost-in-peace/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 10 Apr 2009 14:00:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>charlie</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>
		<category><![CDATA[ロスジェネ]]></category>
		<category><![CDATA[思考]]></category>
		<category><![CDATA[日常]]></category>
		<category><![CDATA[郊外]]></category>
		<category><![CDATA[都市]]></category>

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		<description><![CDATA[新しい大学は、兵庫県の山の上にある、「オサレ」としか形容のしようがない、とても瀟洒な造りのキャンパスが特徴の大学。ロケーションで言うと、ハルヒの舞台となった辺りから、山ひとつ挟んだ反対側くらいだと思えばいい。そんなわけだ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>新しい大学は、兵庫県の山の上にある、「オサレ」としか形容のしようがない、とても瀟洒な造りのキャンパスが特徴の大学。ロケーションで言うと、ハルヒの舞台となった辺りから、山ひとつ挟んだ反対側くらいだと思えばいい。そんなわけだから当然、最寄りの駅から大学まで歩こうとすれば、</p>
<blockquote><p>うすらぼんやりとしているうちに学区内の県立高校へと無難に進学した俺が最初に後悔したのはこの学校がえらい山の上にあることで、春だってのに大汗をかきながら延々と続く坂道を登りつつ手軽なハイキング気分をいやいや満喫している最中であった。これから三年間も毎日こんな山登りを朝っぱらからせにゃならんのかと思うと暗澹たる気分になるのだが、ひょっとしたらギリギリまで寝ていたおかげで自然と早足を強いられているのかもしれず、ならばあと十分でも早起きすればゆっくり歩けるわけだしキツイことでもないかと考えたりするものの、起きる間際の十分の睡眠がどれほど貴重かを思えば、そんなことは不可能で、つまり結局俺は朝の運動を継続しなければならないだろうと革新し暗澹たる気分が倍加した。（谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』）</p></blockquote>
<p>というキョンの思考が完璧にトレースされて僕の頭の中に再現されるのであり、実際、この数週間というもの、引っ越しの荷物の中からサルベージしそこねたおかげで自宅からカートを引いて持ち込まざるを得なくなった大量の文献を抱えて坂道を上り、90段近くある階段の頂上にたどり着く頃には完全に息が上がっており、しかしそれでもまだ大学までの道半ばであることに本当に暗澹としながらまたカートを引く、の繰り返しだったわけだ。</p>
<p><span id="more-301"></span></p>
<p>ちなみに、その上り坂は仕事を終えて帰る夕暮れの時間には、当たり前のことだが下り坂になるのであり、地獄のような階段も、見渡せば眼下に（絶景とは言えないまでも）それなりに綺麗な夜景を眺めることができるわけだが、いま僕がしたいのはそっちの話じゃない。</p>
<p>階段を上り終えてひとつ角を曲がると、そこから大学までは一直線の緩い上り坂で、日本を代表する樹木のひとつであろうソメイヨシノが両脇をがっちり固める通りに出る。</p>
<p><img style="border-right: 0px; border-top: 0px; display: block; float: none; margin-left: auto; border-left: 0px; margin-right: auto; border-bottom: 0px" title="090410-01" src="http://blog.szk.cc/wp-content/uploads/2009/04/090410011.jpg" border="0" alt="090410-01" width="470" height="358" /></p>
<p>入学式～講義が始まる今週辺りがちょうど桜は満開の見頃で、地元の住民の皆様は、車が来ない時を見計らっては、車道に出て写真撮影。ほとんどの人が大型犬の散歩中であり、持っているカメラがデジイチである辺り、この土地の階層性を感じないこともない。ちなみに坂の途中で「あんぱんっ……！」と呟いて立ち止まっている美少女は、目を皿のようにして探したけれどまだ見つかっていない。</p>
<p><img style="border-right: 0px; border-top: 0px; display: block; float: none; margin-left: auto; border-left: 0px; margin-right: auto; border-bottom: 0px" title="090410-02" src="http://blog.szk.cc/wp-content/uploads/2009/04/090410021.jpg" border="0" alt="090410-02" width="470" height="358" /></p>
<p>とはいえ坂の途中には、何の変哲もないバス停なのに、どこかで新海誠さんがロケハンしてたりするんじゃないかと辺りを見回したくなるような、あるいは佐原ミズの『バス走る』に出てきたバス停ってこんなだったんだろうかと思わせる、しかしやっぱり何の変哲もないバス停があったり、これはどこに立ち絵をかぶせればいいんですか的なロケーションが満載だ。美少女ゲームの舞台が往々にして、そこそこ裕福な中流家庭の住む郊外であることは、主人公たちのモラトリアム性と合わせて重要な条件だと考えていたのだけれど、それはここにあったのだなんてことを思わなくもない。</p>
<p><img style="border-right: 0px; border-top: 0px; display: block; float: none; margin-left: auto; border-left: 0px; margin-right: auto; border-bottom: 0px" title="090410-03" src="http://blog.szk.cc/wp-content/uploads/2009/04/090410031.jpg" border="0" alt="090410-03" width="470" height="358" /></p>
<p>坂を登り切ると、青空に映える白い壁と赤い屋根が美しいキャンパスがお出迎え。スパニッシュ・ミッション・スタイルとか言うらしいこの建築は、初めて見たときは何このディズニーランド、と思ったのだけど、実は建学の頃から100年近くこのスタイルらしく、実際にキャンパス内の建物も、ものによっては築40年以上になる。時計塔を眺める中央芝生は地域の住民に開放されいて、子どもの遊ぶ声が絶えることはない。</p>
<p>とにかく、平和なのだ。</p>
<p>思わず、自分はどこにいるのだろうという気にさせられる。サークルの勧誘合戦が始まっている。眉間にしわが寄る。山の上の地方私立大学は、流動性の高い都市部とは違って、同年代の日本人ばかりが集まっていて、大人になるのが少しだけ遅れても怖いことなんかない。学生たちの一体感の強さやロイヤリティの高さは、平和という名の繭が彼らを優しく覆っていることから生まれているのだと思う。彼らは世界の悲惨も、苦しむ若者の現実も、すべてこの繭のフィルターを通して知ることになるだろう。</p>
<p>それがいけないことだとは思わない。僕らはテレビを通じてしか飢える子どもを知り得ないし、知らなければそれはなかったことにされるだけなのだから。僕の中のロスジェネ根性は、まぶしすぎる彼らの青春を正視するのを躊躇わせるのだけど、そこで背を向けるのは正直かっこ悪い。いや、かっこいいと言う人もいるだろう。でも彼らだって別種の傷をなめ合う内集団を構築するために、外集団としての「奴ら」の現実から目を背けてレイベリングしているに過ぎないのであって、そこに正義や倫理を持ち込んでも詮無い。ある出来事の当事者であることは、別の出来事の当事者になれないということを決して免罪しない。それができると思ったところに、日本の学生運動の崩壊の一因があったのだと、僕は思っている。</p>
<p>戦争が待望されていたのではなく、平和が憎かったのだ、と思う。この場所にいると、それをとてもよく感じる。あそこには戦争がある、けれどここには彼女との平和がある、という対比こそがセカイ系を支える想像力だったとすれば、文字通りここにはセカイ系の平和がある。そしてその中にいればこそ、「本当は既に戦争なのだ、お前らはぬるま湯の中の甘ちゃんなのだ、いっそこの平和をぶちこわしてやる！」と叫んでも、この平和は絶対に崩せないだろうと思う。震災という熾烈な非日常から立ち上がり、安楽の日常を取り戻した人たちが多く住む土地だけに、その感覚は特に強い。</p>
<p>平和の中で自分を見失うのは容易い。平和を憎む人と共に罵詈雑言を投げかけるのは、もっと容易い。一番困難なのは、平和の中でひとり見えない銃を撃ちまくることだ。下り坂になった帰り道、桜の花びらが舞い散るのを見ながら、東京の桜は、たくさんの人に地面が踏み固められたせいで、花ごと落ちる弱い桜の樹が多くなっていると聞いたのを思いだした。学生たちの歩みは、きっとこの土地の桜を弱らせるには少しだけ臆病に過ぎるのかもしれないな、と思った。</p>
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