雑記20190304-03

ちょっと箸休め的に『無人化と労働の未来』を読む。前の投稿から約1時間だから、ほんとにさらっと読める本。

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内容は、タイトルとはややズレている。本書の前半は、ドイツの農業現場における自動化テクノロジーの導入であり、最近注目の自動運転やサービス分野の自動化、無人化については、まだこれからというところだ。

そもそも、ドイツのインダストリー4.0は、製造業中心のドイツにおいて生産性向上のために政策的に導入されたもので、データの共有だとか自動化だとかで、サプライチェーンの効率化を測ることが目指されている。本書の前半は、小麦の生産から小麦粉、パン製造、そしてパンの流通の過程において、どのように無人化が進んでいるかを示すことで、製造業の現場で何が起きているのかをわかりやすく示している。

他方で、自動化なり無人化なりという言葉が、あまりにフラットに使われすぎているのだということにも気付かされる。製造業や物流の現場においては、生産性はすなわち時間と量で測定することができる。つまり、より短い時間で、たくさんのものを製造できることが生産性の向上だったわけだ(これは時間消費の話をするための大前提になる)。だから、たとえばアマゾンがやっていることが「需要から消費までのリードタイムの最短化」であるとするなら、それは結局、従来の物流システムを極端に効率化しているだけであって、根本的なしくみの変化とは言い切れない。

また、サービス分野での無人化でも注意すべきことがある。タクシードライバーの仕事が自動化されるメリットは、要するに「疲れない」ということだ。ドライビングにかかる負荷、ずっとシートに座っていることによる健康への悪影響は、自動運転の導入で軽減できるだろうが、それ自体は生産性を向上することにつながらない。むしろ、疲れる仕事が減ったぶん、話し相手になったり観光案内をしたりするといったことでサービス性を向上させなければ、技術の導入に見合う収益増にはつながらないのではないか。

プログラミングやウェブサイトの構築の自動化についてもそうだ。経営という観点から見れば、確かに無人化(というより省力化)によって人件費の削減は果たされるだろうが、それは言ってみれば「コスト」の削減でしかない。収益は売上マイナス費用なのだから、費用の圧縮は収益の増加にはつながるけれど、自動的に売上の増大を保証するわけではない。

こうした産業間での違いや特性を無視して「無人化」を単なる技術の問題として論じ、社会はそれに対して受動的に対応するほかなく、またその方針も多くの場合は非効率であるという、技術決定論にありがちな立論には、社会学の観点から大きな疑問がある。パン工場の自動化とタクシーの自動運転化は、産業的にまったく意味の異なるものであり、したがってそのインパクトも対応のあり方も異なる。この辺をきちんと腑分けできない議論が横行しているのは、いかがなものかなあと思うのだった。