彼女はペット

雑記

0918

今週はゼミ合宿のため南紀白浜へ。初めて見た千畳敷の風景はとてもフォトジェニックで艶めかしい。僕の知っている海とは違う太平洋の波も、高さ云々じゃないところでちょっとした荒さを感じる。水平線が霞んでしまって沈む夕日は見られなかったのだけれど、微妙な色合いの夕暮れは、周囲の岩場に美しい陰影を残してくれたのだった。

というゼミ合宿に同行したのは、いつものPSPじゃなくてDSとラブプラス。ゼミ生とその話ができるかなと思っていたら認知率がほぼゼロでちょっとしょんぼり。そのためにわざわざ寧々さんと恋人になってったっていうのにごめん嘘ついた。

しかしまあ、語りどころの多いゲームだなとは思う。色々と言われているけれど、個人的な感想としてまず思ったのは、これはギャルゲー史ではなく、DSというハードの歴史で考えた場合、「nintendogsの彼女版」という認識が正しいのだろうな、ということ。ペットも彼女も、自分からすれば何を考えているのか分からないけれど、とりあえずコミュニケーションの機会を作り、触ってあげたり声をかけてあげたりすると機嫌が良くなる、放置すると機嫌が悪くなってより深いコミュニケーションを求めてきたりする、というあたりは、形式として考えるならば両者の共通点になっていると思う。

ということはラブプラスはたまごっち的な育成シミュレーションゲームなのか?というとちょっとそれも違うように思える。多くの育成シミュレーションゲーム(育てゲー)においては、育成のゴールが明確で、場合によってはそれが量的に数値化されている。たまごっちやポケモンの場合は「成長」「進化」というパラメーターでそれが表現されていたわけだ。そしてその目的は、通信対戦などによってパラメータを鍛えたキャラ同士を戦わせるなどの行為で、「育成」の帰結としての量的パラメーターの高低=勝利を競うことにあった。

しかしながらラブプラスの場合は、そうした量的なパラメーターは、主人公の側にしか存在しない。そしてそのパラメーターが効いてくるのはあくまで彼女に対してだけであって、誰かと競うために存在しているのではない。彼女はあくまでプレーヤーの「好み」という質的パラメーターを与えられている存在なのだ(だから多くのユーザーは「通信」によって他の彼女とコミュニケーションさせることに意味を見出せない――したことないから予想だけど)。

質的なパラメーターの育成を目的とするゲームという意味では、だからむしろラブプラスが近いのは着せ替えゲームやアバターサービスなどではないのか、と思う。そこで育てられる対象が自分ではなく彼女であるため、そこには昔のギャルゲーに見られたような(って桂木桂馬がゆってた!)形式的なコミュニケーション機会の積み重ねという働きかけが必要になるんだけど、そこでは「競争」は目的になっていないんじゃないか。そう考えると、このゲームに必要だったのは、彼女からの呼ばれ方や衣装の追加ダウンロードサービスだったのだろうなあ。お誕生日やクリスマスなどの記念日用コスチュームを販売すれば、大きなお友達にバカ売れだっただろうに、と思う。

あとは内容面か。これはもう30代的な意見になっちゃうけど、まさに自分の生きてきた時代が、寧々さん的な先輩から小早川的な後輩へ、80年代的価値観から90年代的価値観へというブリッジだったのではないか、と気付かされる。高嶺にはビタイチ感情移入できないのだけれど、この二人の配置は素晴らしいなと思った。寧々さんならそれこそ平中悠一の小説みたく、何かいやなことがあっても溜め込んで、「? なんのこと?」とかおすましして言ってくれそうだし、小早川凛子に至っては「あたし80年代生まれ90年代育ち、自意識系は大体友だち」とかってフレーズが脳内を横切りっぱなし。てゆうか凛子に第二次ブリティッシュインベージョンとサリンジャーを紹介したのはどこのどいつだっつうああもう!

取り乱した。ともあれその世界観や、DSソフトのメモリ限界をものともせずここまでの人気を得られるゲームを作ったことは、称賛に値するだろう。まだ書いてない『ペルソナ4』論とも関係するのだけど、ことコミュニケーションや人間の関係性をゲームで描こうとする際には、とにかく容量を多くする「足し算的発想法」ではなく、限定されたパターンに、プレーヤーだけにしか意味をなさない感情移入を可能にする「引き算の美学」の方が有効である場合もあるんじゃないか、と思う。これはアイボやドロッセルお嬢様にだって通じる話だと思うし、広げてしまえば「よきヒューマンインターフェイスとは何か?」という話でもあるのだと思う。広げすぎですねすみません。

ちなみに合宿から帰ってきて、あまりの疲労に翌朝まで昏々と眠り続け、朝から仕事に出て帰ってきてみたら充電が切れていて、起動時に寧々さんに怒られたのがちょっぴり切ない残暑の思い出になりました。嗚呼。

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