プロセスとアウトプット

雑記

気がついたら録りだめてるアニメも1ヶ月分くらい見られてない。青春リアルでは「仕事がうまくいかない」とか言ってたくせに、気付いたら次から次へと仕事の依頼が舞い込んでいて、先週からこっち、11月下旬まで週末にビタイチ休みがない。いやもちろん「週末に休めとか言われても困る」とか書いたのは僕自身なので嬉しい状況ではあるんですけど。

こうやって仕事に波があると、多くの人が思うのは、人生山あり谷ありというか、まあうまくいかない時期だってあるさ、という宿命論じみた想念なのだろうけど、僕はあまりそういうものを信じられなくて、いい時期にも悪い時期にも特徴があって、どういう打開策を目指せばいいのかも、そのパターンによって変わってくると思っている。うまくいかない時期だからこそ、じっと我慢していた方がいいこともあれば、積極的にアクションを起こした方がいい場合もあるはずだ。

そのパターン分類の仕方にも色々あると思うのだけれど、最近考えたのは、その停滞している状況っていうのが、どの方向に障害を抱えているのかということ。具体的には、プロセス方向に障害があるのか、アウトプット方向に障害があるのかということ。

仕事でもなんでも、プロジェクトというのは、それが進行するプロセスで得るものが多いプロジェクトと、結果が重要なプロジェクトがある。最近は開発言語の勉強会がプログラマさんの間で流行しているみたいだけど、あれなんかプロセス型プロジェクトの典型じゃないかと思う(参加したことないけど知ったかぶりたかった)。要するに、何かすごくいいことを学べました、っていうことより、そこに誰が参加しているかとか、そもそも参加したってことがいい経験になるようなもの。

それに対してアウトプット型のプロジェクトとは、つまりは結果を出してナンボの世界。納期までに要求水準に応えるプロダクトを仕上げるとか、クライアントが納得するプレゼンを行うとか、売り上げを達成するとか。まあいわゆる普通の「仕事」と読んでいる作業のことだ。

とはいえどんな仕事にも、プロセス重視の側面とアウトプット重視の側面がある。新人の営業が、顧客を獲得するというアウトプットを達成できなかったとしても、ベテランから見ればそれは、飛び込みとかプレゼンなどの経験を積むプロセスで得られるものがあればいい、と思ってダメモトで投げた仕事かもしれない。だからこそ結果の如何に関わらず、営業部長は新人の肩を叩いて飲みに誘うわけだ。昭和だなあ、と思うけど、アウトプットとプロセスのバランスを分かった上で人材活用ができる人というのは、間違いなくいい上司になると思う。

別にそんなビジネス書みたいな話をしたい訳じゃなくて、何が書きたかったのかというと、自分が最近まで突き当たっていた「壁」っていうのは、結局のところ、プロセス重視の仕事ではまっていたのか、アウトプットが出せなくてはまっていたのか、そこがポイントだったんじゃないかということ。で、例えば大学の講義なんかだと、これはもう確実にアウトプットの問題、言い換えれば僕の準備不足や経験不足に還元されるものだから、気が楽だった。少なくとも改善の方向は見えるし、実際にきちんと改善メモを作成し、次年度に繋ぐことができたと思う。問題は、プロセス型の仕事で詰まっていた部分だ。

プロセス型の発想は、一般的に長期的な関係が予想されるプロジェクトにおいて重視される。こうした仕事では、たとえアウトプットに納得がいかなくても、そこで短期的にいい成果を上げようとして周囲を叱咤激励したり、質の向上を要求したりすることが、かえってモチベーションを低下させ、そのときの仕事は納得のいくものになっても、パートナーたちに見放され、プロジェクトをイチから作り直すはめになることが多い。もともとそういうごり押しがあまり得意でもない僕には、可能な限り「俺たちいい仕事したよな!」という気持ちを分かち合い、お酒を飲む方が割と性に合うのだと思う。

けれどこの春から詰まっていたいくつかの仕事は、たとえば制作体制の問題で人間の流動性が高く、長期的な信頼関係を築くのに向いていなかったり、こまめな連絡、というか、対面のコミュニケーションの機会を確保できなかったり、そういうことに問題を抱えていた。仕事が始まったばかりで、また土地勘もないからこっちで飲みにも誘えないし、東京の仕事だと向こうまで行くのが難しかったりも。そうやってディスコミュニケーションが続くと、お互いに「もういいや」ってなって、納得できないアウトプットの仕事に、プロセス的な意味も見出せなくなっていくわけだ。

青春リアルの仕事が最近改善されてきたのは、こないだのLifeでも喋ったけど、制作体制が変わって、少人数の内製スタッフでの体制になったことがきっかけだったと思う。いまではNHKのスタッフとも、僕が東京にいるときには必ず打ち合わせの時間を確保するし、どうしても無理なときには政策統括自ら関西まで出張ってくださったりする。制作に関わるプロセスを改善することで、明らかにアウトプットまでよくなる、というのは、ちょっとできすぎだし、他にも色んな要因があっての改善だろうとは思う。しかも視聴率にも、内輪以外での評判にも、まだその改善は反映されていないし。

でも、ひとつ大きな勉強になったのは、「うまくいかない」時に、それをアウトプット的に改善しようとするのではなく、それとは関係のないことでプロセス的な成果を積み上げられる時間を持てるように動く、っていうのも、状況を打開する手段として大きいんだなということだった。特に、アウトプットの水準に不満を持っているのが一方だけで、もう片方はそうした不満を抱えていない場合に、この手法は有効だという気がする。「何が不満か」を分かってもらう前に、とりあえず「不満を抱えている」ことが伝わらなければ改善に向けて協力関係が組みようがない。ぶっちゃけ「上手に愚痴る」スキルって、会得するのは難しいけど大事なんだなと感じた。

「うまくいかない」ことを、漫然と時期のせいにして「待ち」の姿勢になるのも、人生訓としては悪くない。けど、僕らのお仕事は、時期が良くなるのを待っている間にそれ自体が消滅してしまうこともある、不安定なものだ。だからこそ、「何で詰まっているのか」「どのように動くのか」を、きちんと意識しないとな、と思う。うまくいったことばかりじゃないけど、前の低迷期と比べても、それを学べただけ御の字としよう、いまのとこ。

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