昨年に引き続いて、今年もプレイしたゲームを淡々と振り返ります。長いこと更新できなかった理由とかそういう話はまた後で。
全体的には、「これだ!」というほど心酔したゲームはなかったのですが、じっくり楽しめるプレイ時間の長いゲームにたくさん出会えたのも確かで、本数は昨年よりは少なめです。
PCゲーム編
楽しめたかどうかとは別に、今年もっとも時間を使ったゲームのひとつ。これと『戦ヴァル2』のおかげで、今年はゲームの消化本数が少なかった。まあそれはきっと幸福なことなのでしょう。内容的には、攻殻機動隊とマブラヴとエヴァを足して水で薄めた後にアクションゲームの上にかぶせた感じ。いや別にけなしているわけじゃなくて、「とても水準の高いオリジナリティのなさ」なのですよ。すごくよくできたアジアの新興国のコピー製品みたいというか。うーん。これでも褒め言葉なんだけどなあ。。。
イノグレ作品はそれなりにプレイしてきたつもりだけど、ちょっと今作はいまいち。うまく回収されきってない複線とか、予想通りの「犯人はヤス(ネタバレ防止)」とか、その辺はまだ許せる。ただこれまでの作品で不満の一つとされていた「ヒロインの死の回避」をストーリーに組み込んだのが残念。回避できない死だからこそ、そのヒロインへの愛が深まるんですよ綴子さん!とか言いたくなった。というか、全ヒロインの死を回避するとトゥルーエンドっていう構造そのものは、もう飽きるほど反復されているので、一周回って凡庸になったとも言えるわけですが。
ファンディスクはファンディスク。それ以上でもそれ以下でもなし。ただ、だからといって冒頭から何をしたらいいのか分からないループゲームにする必要があったのかどうかについては疑問。
まさかの男の娘ゲー。エロゲーなのに。なんていうかこう、それをやろうと思った心意気だけで点数をあげたい。それ以外の部分では、安定したいつもの叔母風呂。郊外の偏差値中位校が舞台で、みんなモラルが壊れていて、萌えとかは正直皆無。寝取られあり、レイプあり、でもただ殺人はなし、みたいな。あと動作が不安定とかセーブができないとかバグが出るとかパッチを待てとかその辺もいつも通り。
こっから5本はただいま攻略中。なんというか、『R.U.R.U.R』にも通じるSFちっくな設定らしいのだけど、冒頭から思わせぶりな複線とか、主人公とヒロインは事情を分かってるらしいけれども作中での説明はほとんどないとか、ちょっとハードル高め。ただストーリー的にも絵的にも白泉社系の少女マンガの雰囲気はあると思う。
アニメの方は話題になってるけど、ゲームとしては普通サイズの作品。田舎町の舞台設定があまり活きてない印象を受けるのだけど、全ルート攻略するとイメージ変わるんですかね。
ディスクレス起動ができないせいでまだ体験版レベルのところまでしかプレイできてない。PCゲーム向けのオープンな認証システムとか開発されないかなあ。
『水平線まで何マイル?』一作で散ってしまったABHARのスタッフによる実質的な新作。『すまいる』と同じくエロ成分はきっと少なめのさわやか展開なんだと思う。
ファンディスクはファンディスク。でも、この作品のAfetrならファンディスクでも見たい。渡来様もたまひよも健在です。
PSP編
売り上げランキング: 827
旧作だけど、『零の軌跡』が発売になっていることを知ってからプレイ開始。こちらもファンディスクというか、前日談や後日談の寄せ集めという感が強い。ので、やりこみ度も弱めで攻略難易度はさほど高くない。まあ前2作と同じレベルだったら、今年プレイしたゲームがさらに数本減っていたはず。
売り上げランキング: 2609
4Gamerの記事にも書いたけど、今年プレイしたゲームの中では一番の傑作。ストーリー的なところに踏み込んで言えば、この作品は「彼女の記憶がリセットされる」という設定を用いたループゲームの一種なのであって、しかもそのループが奇跡的に解消されることはあり得ない、と冒頭で宣言してしまっている点が素晴らしいと思った。そして、それにも関わらず、決して悲劇ではないエンディングを描けたというのは、ほんとうに意味のあることなのだ。
売り上げランキング: 521
今年の僕のプレイ時間のほとんどを奪った悪魔ゲー。余裕で100時間は超えた。こちらも戦略ゲームとしての側面は4Gamerに書いたけど、内容的には、落ちこぼれ士官候補生というだけで燃える(not萌える)ものがある。願わくば、彼らがコンプレックスを脱して一人前の兵士になるまでの過程も、もう少し厚く描いて欲しかったかなあ。
売り上げランキング: 825
実はときメモシリーズをプレイするのは今作が初めて。設定的にもゲームシステム的にも、そしてヒロイン的にもなんだか食指が動かなかったのだけど、今回は都子がヤンデレ化するという情報を聞きつけて、これは買うしかない、と。なんかこう、もう少し攻略難度が低ければ愛が芽生えたかもしれない微妙なレベルのヒロインが多くて残念。でも、美少女ゲームって本当はこういうものなのだよね。
売り上げランキング: 2620
こちらも安定の一作。プレイ時間が長いゲームばかりやってるせいで、こういう作品をプレイすると、正直物足りない気持ちになるのだけど、伏線を回収する手間を考えると、推理アドベンチャーでこれ以上長い作品は、ちょっと簡単には作れないだろう。サブイベントや単発ミッションを増やしても、メリハリがなくなるだけだしね。
攻略中。「パンを焼いて届ける」というゆるふわな設定が、PSPサイズのRPGとしてはぴったりマッチしている気がする。
iPod Touch編
自宅でも出先でもなかなかゲームをプレイする時間がないと、どうしてもモバイルゲームに偏ってしまうわけだけれど、それなりに混んでいる時間だとPSPを鞄から出すのも大変。というわけで短い電車の乗り換えの間なんかによくプレイしたのがiPod Touchのゲーム。iPhoneじゃなくてもゲームなら大差ないし。
以前Lifeで「コンシューマー機とiPhoneのゲームを比較したらiPhoneがすぐれているのは論を俟たない」と津田さんに言われて、そのときはまだプレイしてなかったので、じゃあ一度試してから判断しようと思ったのだけど、やってみて全体の感想。まだiPhone/iPod Touch用に配信されているゲームで、コンシューマー機が不要になるレベルのものは正直出ていないと思う。過去作品のリメイクとか、ガラケー向けアプリにありがちな短い時間の暇つぶしとか、そういうものならあるんだけどね。
その中でも、これはすごいなと思ったのがこちら。物理演算を用いたアクションパズルゲームなのだけど、難易度もグラフィクスもよくできている。もとはタブレットPC用に開発されたゲームだけど、iPhoneサイズにして正解だと思う。というか、ハードにはそれぞれの特性があるわけで、こういう形で活かしていかないと意味がない。
時間つぶしという点では、物理演算を使いながらうまく罪のないゲームを作ったなという印象。ただひたすらバスケットゴールにシュートするだけのゲームも、指を繰り返し動かすというだけのことが面白いと気づけば、十分に楽しめるものになる。
アクションゲームの中でも、前スクロールの滑走ものっていうのは、小さい画面で爽快感が得られるゲームのひとつ。実は暇つぶしゲーとしては一番やり込んだかもしれない。スノボやったことないのに、なぜかトリックの美しさにこだわってみたりね。
音楽再生と共存できないのであまりプレイする頻度は高くないのだけど、映画『サマーウォーズ』に登場したオンラインゲーム「こいこい」を再現したという、PR手法としてもかなりユニークなゲーム。映画を知っていて、かつ花札がわかる人には結構面白いのだけど、そうでない人にはどう映るんだろうか。
スタイリッシュな落ちものゲーム。音楽を占有しなければもう少しプレイ頻度も高かったのにな。
このほかにもクイズゲームやパズルゲームをいくつかプレイしたのだけど、そこまで推すほどのものでもないので割愛。
据え置き機編
売り上げランキング: 214
今年のプレイ時間を奪ったゲームは、実は据え置きの方に隠されていた。正直、一本道とかグラフィックだけとかさんざん言われてますが、最大の問題は、誰に感情移入して、誰の視点でこの逃避行を見ればいいのか分からず、映画としてはそれでいいのかもしれないけど、プレイヤーとしては「操作」している感覚がうまくフィードバックされずに困ってしまう場面が多々あったことではないかと。
売り上げランキング: 544
もう、ここに描かれたアキバすら変わりつつあるいま、あの街を歩き、あの街を愛した人すべてがプレイするべきゲーム。批評的にも色んなことが言えるのかもしれないけれど、やはりここは『Chaos; Head』と並べて、都市論の文脈で語るべきなんじゃないかと思っている。あと助手かわいいよ助手。