[ゲンロンスクール]鈴木謙介「ウェブ社会のゆくえ:スマホ時代のコミュニケーションとコミュニティ」第1回 (全3回)ゲスト:藤村龍至
ほんの少し前まで、ウェブにアクセスするといえば固定されたパソコンの前に座り、画面を見続けることを指していました。ネットばかり見ているひきこもりのオタク、という明らかな偏見を含むイメージが受け入れられやすかったのも、デスクトップパソコンが自室に置かれ、それを見ている間は他の人と交流することがないという物理的な制約を前提にしていたからでしょう。
ですがいま、むしろテレビに近いと言えるこのようなイメージは過去のものになりつつあります。特にスマートフォンの登場と普及によって、ウェブは自室のパソコンからではなく、手の中の小さな端末からアクセスするものになりました。そしてそのことによって私たちは、バーチャルとリアルの間ではなく、目の前の現実と、画面の中にあるもうひとつの現実との間にどう折り合いを付けるべきかについて、頭を悩ませることになりました。
8月に出版する新著『ウェブ社会のゆくえ』では、現実空間に別の現実が入り込み、リアリティが複雑化する時代のコミュニケーションとコミュニティについて解説しています。今回の講座では、本の内容をかいつまんで説明しながら、「情報」と「空間」について考えます。
第一回目はゲストとして建築家の藤村龍至さんをお迎えし、対談形式でお届けします。建築を通して人々の生きる「場」を創造してきた氏は、情報化による空間の変容をどのように考えるのか?
76年生まれ同士の分野を超えた対話にご期待ください。