雑記20190207

今日は、辻村深月『かがみの孤城』を読了。ある程度筋書きの読めるところはあったものの、そして胸が苦しくなるような場面もたくさんあったけれど、最後はぐっと泣けるような、平凡な言い方をすると「いい話」だった。

たぶん泣けてしまったのは、それが「学校」という世界の外にはじき出された人たちの支え合いの話だからだ。登場人物たちがある種の距離感を保ちながらも、互いをかけがえのない存在として認め合っていくプロセスの描写は、さらりとしているようで、読者に見落とされないように配慮されたものになっている。

「『相手のことを思いやろう』なんて、知識として持っていても意味がないじゃないですか。知識はググれば出る社会になったら、教育の役割は、『相手のことを思いやらなければ』という気づきを促すものになるんです」

夕方の電話取材でそんな話をして、後から思い出して皮肉な笑いが出た。何をどうしたって、僕だけはそんなこと言う資格ない。仕上げ作業に入っている新刊の原稿だって、とにかくこの種の綺麗事だらけだ。人と人とが触れ合ったり、助けを求めたり、衝突したり、思いやったりしていくさまは、それこそ作家が細心の注意を払って、ようやく描けるようなものなのだ。

生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。