新刊案内『いま私たちをつなぐもの』(山田義裕、岡本亮輔編)

新刊

山田義裕、岡本亮輔編『いま私たちをつなぐもの 拡張現実時代の観光とメディア』で分担執筆を担当しました。第2章「オンライン・ツーリズムと観光体験」(P22-40)が担当箇所になります。

普段、分担執筆について告知することは少ないのですけど、今回は感慨深いところもあるので少しだけ。執筆したのは、オンライン・ツーリズムというコロナ禍で生じた新しい事例を、メディア理論や社会学の古典と突き合わせながら検討するというもの。依頼をいただいた当初は、本書成立の元になっている北海道大学の研究会でお話させていただいた内容のリライトでいいかなと思っていたのですが、どうもそういう呑気な状況ではなくなっていたこと、執筆期間が春学期中と予定されていたものを、オンライン授業の対応で夏まで遅らせていただいたので、どうにかそれまでに書き上げなければいけなかったことなど、ない知恵を絞って、誰にも先の読めない出来事について考える必要に迫られました。

観光はおろか、どこにも出かけることのできない状況のなか、どこかに出かけるという体験について書くのは、思ったよりもストレスです。実際、執筆期間中は完全に籠もりきりで、しかもフィールドワークなどの資料を掲載するアテもない。学術研究において、現在進行系の事態について触れる必要はないのですけれど、理論研究を軸にする人間としては、それでは駄目だろうということで、そうとう悩みました。

今回取り上げたオンライン・ツーリズムは、春の間、ゼミの学生とオンラインで何度も何度も検討し、そこで見えてきたことをベースに分析したものです。本来であればもっと活発に、自由に、話したいときにたくさん時間をとって考えることで鍛えられるはずの大学生活が受けた制限。そんな画面越しの教育活動から研究成果になるような知見が生まれたことや、それがツーリズムという「自己の体験の外側に出ていくこと」を必然的に求める行為を対象にしていたこと。そうしたことを振り返ると、ほんとうにみんなよく頑張ったよなあという気持ちになります。

個人的にはこの論文で述べた「オンライン・ツーリズムにおける『状況の定義』」という見立ては、たとえば企業におけるインターンシップや新人研修など、非言語的手段で伝達されていた組織・集団の「雰囲気」を、オンラインでいかに共有するかといった実践的な応用も可能なものだと感じています。専門書ではありますが、ご関心の向きはどうぞお手にとってくだされば。

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